12カ国に約400店舗!メガネの「OWNDAYS」本社が那覇にある理由

 

コロナをチャンスに「目立ったもん勝ち」

 昨今のコロナ禍、多くの企業にとって悪条件となり守りの姿勢に入ってしまうであろう。小売製造業である同社にとっても分が悪い状況にも映るが、田中社長はむしろ現状をプラスに捉える。前述のとおり店長職の年収をそれまでよりも平均で100万円もアップさせた

 「逆に優秀な人材を採用できるチャンスだと思っています。このタイミングで給料を上げた方が絶対に目立つじゃないですか」。この“目立つ”という戦略は、田中社長が就任した当初から一貫して続けている。企業再生のスローガンは「目立ったもん勝ち」だった。

 「アパレルや飲食業界などからの経験者を集めていきたいです。そのためには給与水準を常に上げておいた方が良いという考えです」。現役の店長にとってはよりシビアに実力を求められることとなり、各店舗の切磋琢磨にもつなげる狙いだ。

同社が入居するビル(那覇市久茂地)

無料塾の生徒にメガネを提供

 沖縄で事業展開する田中社長は、沖縄の社会問題を解決したいという思いも持ち合わせている。

 「やっぱり思うところはありますよね。特に経済的な格差がひどいと思います。他にも、簡単に解決できない根深い問題が多いですよね」と言葉を選びながら話す。「稼げる仕事をしないといけない」と、社員には好待遇を用意しているという。

 さらに、教育面での格差も埋めて貧困の連鎖を断ち切ろうと「メガネ屋さん」ならではの支援をこの6月から行っている。

 学校法人尚学院(那覇市)が運営する無料塾に通う生徒を対象に、無償でメガネを毎年1本、卒業まで提供するというものだ。「年々視力も変わっていきますし、目が悪いと集中力も保てませんから、毎年作れるようにしています。どんな家庭の子も平等に教育を受けられてチャンスがもらえる、という仕組みを企業が作っていく必要があると思います」と話す。

 「企業が大学の学費や生活費を支援し、将来的に自社で就職してもらう」という仕組みも提唱する。「そうすると学費の心配もなくなり『学校なんか行かなくていい』という親御さんも少なくなるはずです。思考力や判断力を付けた人が増えると、沖縄の自立型経済が実現できると思います」と田中社長。グローバルに大きく展開し、ローカルに寄り添う経営を続けている。

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長濱 良起

投稿者記事一覧

フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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