“火中の栗”を拾う理由は… FC琉球に帰ってきた金鍾成監督が口にした「使命感」

 
再びFC琉球の指揮を執ることになり、トレーニング中に選手たちに指示を送る金鍾成監督=19日、東風平運動公園サッカー場(長嶺真輝撮影)

 FC琉球の歴史を変えた指揮官が、沖縄に帰ってきた。

 2016~18年に監督を務め、最終年の18年シーズンに琉球を球団初のJ3優勝、J2昇格に導いた金鍾成(キン・ジョンソン)氏だ。J3で20チーム中18位に沈み、成績不振に伴い喜名哲裕前監督が辞任したことを受け、再び琉球の監督に就いた。

 19日には今回の就任後で初めてトレーニングで指揮を執り、終了後にメディア取材に応じた。2シーズン連続の降格の危機にある古巣の現状は、金氏の目にどう映ったのか。“火中の栗”を拾うような決断を後押しものは何だったのかー。

「攻守の切り替え」に課題感 “相手を1点上回る”サッカーを

厳しい状況の中、トレーニングに汗を流すFC琉球の選手たち

 金氏が以前琉球で指揮を執っていた頃から所属し続けている選手は数人のみのため、初日は指示出しを最低限にとどめ、チームの現状や選手たちの特性を見極めるように若干遠巻きでトレーニングを見詰めた。

 ただ日本フットボールリーグ(JFL)との入れ替え戦圏内となる19位との勝ち点差はわずか1ポイントで、JFLへの降格圏内となる最下位20位とも5ポイント差。シーズンは残り11試合と少なく、一刻も早く残留争いから抜け出すためにはゆっくりチームづくりをしている時間はない。そのため、選手たちには今後に向けて「僕からの提示は少し増える。耳障り、うるさいと感じるかもしれないけど、理解してほしい」と伝えたという。

選手たちのプレーをじっと観察する金監督(中央奥)

 練習中のゲームを見ていて感じた課題は「攻守の切り替えで少し落ち着いてしまうところ」。確かに、試合でも前を向ける場面でバックパスをしたり、ボールを奪われてからの戻りが遅く、そのままカウンターで失点してしまったりする場面が目立つ。

 琉球を離れた後も鹿児島ユナイテッドFC、ガイナーレ鳥取とJ2、J3のカテゴリで監督を歴任してきた金氏は「攻守の切り替えはチーム力を上げる大事なポイントなので、それは自分がサッカーにおいて必要だと思う部分です。プレーが途切れないようなゲームをしたい」と改善を誓う。

 もともと攻撃的なサッカーを志向しており、「相手より1点多く上回ればいい」という信念を持つ。ただ琉球は現在、総失点数が「47」でリーグ最多。「守備を今から構築しようという考えもなくはないですが、1対0、3対2とか、試合終了時点で相手を1点上回るにはどうしたらいいか。全体のバランスの中で考えていきたい」と展望する。どう守備の課題と向き合いながら、成績を上向かせていくかは手腕の見せ所だ。

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