景況判断、2カ月連続で下方修正 日銀那覇支店「大きな逆風」
- 2021/6/21
- 経済
日本銀行那覇支店(一上響支店長)は9日、6月の県内金融経済概況(主要指数は4月)を発表した。県内景況について、「下押し圧力が強まっている」と文言を変更し、2カ月連続で下方修正した。一上支店長は「ゴールデンウイーク後の感染急拡大で緊急事態宣言の発令など大きな逆風があった」と説明した。
今月の判断引き下げは、新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けた緊急事態宣言の発令などにより、沖縄の主要産業である「観光」で判断が下方修正されたことに伴うもの。そのほかの項目(個人消費、公共投資、設備投資、住宅投資)では、判断を据え置いた。
県内主要ホテルの客室稼働率(5月)は、速報値で24.2%となり、前月の28.0%から低下した。新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年と比較した場合でも、4月は65.7%減、5月が68.6%減で、マイナス幅が2.9ポイント拡大した。同支店では「観光部門で下押し圧力が強まっている」とした。
一上支店長は、判断の下方修正について、新型コロナの感染状況で不確実性が高い状況と指摘した上で、個人的な印象として「5月の感染拡大と、特に沖縄が(感染状況で)全国1位になるという状況は、私が考えていたよりは、かなり悪化度が高く、悪い方のシナリオになっている」との認識を示した。
5月の県内企業倒産件数が7件、負債総額は13億5000万円となり、前年同月の倒産ゼロを上回ったことについては、「単月の動きで、(コロナの影響で)倒産が増え始めたというような判断はできない」と述べるにとどめた。
一方で、県内金融機関が企業を支える姿勢を続けていることで倒産が低い水準に抑えられていると指摘し、「今後もそういう状況が続く可能性も大いにある」と語った。
4月の個人消費については、百貨店・スーパーやコンビニなどで前年から概ね増加し、家電販売などでは巣ごもり需要の影響から、前々年並みで推移しているとした。
ただ、指標にはない外食関連の売り上げについては、「前々年を大幅に下回って推移しているとの話が聞かれている」として、個人消費全体では厳しい状況が続いているとした。
一方、同支店では先行きの判断を「引き続き感染症の影響を受けるとみられる」と据え置いた。一上支店長は「ワクチン接種も進み、感染者数が順調に減少していけば、緊急事態宣言も解除され、景気が持ち直しに転じることが期待できる」との見解を示した。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)