名護のインキュベーション施設「coconova」民間主導の起業サポート

 

 沖縄本島北部の中心都市・名護市の多目的型地域コミュニティ施設「coconova(ココノバ)」(名護市宮里)が、北部エリア初のインキュベーション施設として、起業支援や人的なつながりの創出などで存在感を発揮している。

 2021年12月に、「地域共創型のコミュニティ・パーク」としてグランドオープンした同施設。地域の診療所であった建物をリノベーションし、地域に開かれた「公園」としてカルチャースクールやマーケット、図書館といった公共的サービスの提供や、コミュニティウォールやイベント等を通じて多様な人が垣根なく交流できる場づくりを行っている。

 施設2階を公園のようにくつろげる場所として開放するほか、「週末マーケット」や楽器演奏イベントの定期開催、地域住民によるワークショップ、講演会や展示会のためのレンタルスペースやギャラリースペース、ラックショップの貸し出しなど行う。施設1階では、コーヒーと惣菜を提供する店「sōen(ソウエン)」やコワーキングスペース「seeds(シーズ)」を常設する。

名護は「アジア地域のハブになれる」

Social Designの北野勇樹代表

 今回のインキュベーション施設としての始動について、同施設を運営する「Social Design」(名護市宮里)の北野勇樹代表は「名護は沖縄本島の玄関口である那覇空港から車で1時間と立地もよく、これからどんどん変わっていく場所。そんなアジア地域のハブにもなれる場所にスタートアップ支援事業ができる施設がないため、元々アイデアを持っていた自分が作ろうと思い立った」と話す。

 同施設では、スタートアップ支援事業として移住サポートや企業のための資金手配サポート、登記や開業スペースの貸し出しなど、利用者のニーズに合わせた創業支援を行う。

 北野代表は「機能としては、地域の商工会と銀行をかけ合わせたようなイメージ。当施設を利用して起業することで、アイデアが形にもなるし地元での選択肢が増える。またスタートアップで不足する『ヒト・モノ・カネ』の問題を経験者や知識のある人に相談することもできる。競合もいない公園の中にあるコワーキングスペースのような感覚で利用してもらえれば」とも。

アプリ開発などの創業例

「JOREN」の画面を見せる松田秀彦さん

 8月には、移住者の松田秀彦さんが同施設のサポートを受け、コミュニティ運営にかかわるアプリケーション開発やサービス運用、ビジネスのマッチング事業を行う「fan-mily(ファンミリー)」を創業した。

 松田さんは鹿児島市出身。26歳まで東京で働いていたが、旅行で訪問した名護市で北野代表に出会ったことをきっかけに、以前から構想のあったコミュニティアプリの制作を名護で行うことに決めた。「名護の美しい自然や、住んでいる人たちの温度感が自分に合っていると感じた。『情報郊外』の場所に思われるかもしれないが、様々な情報を素早くキャッチできる人たちが集まる場所でもあると思う」と松田さん。

 同社が提供する「JOREN(ジョウレン)」は、店の常連客同士のコミュニケーション用アプリケーション。店へのチェックイン・ポイントカード機能やリアルタイムで店にチェックイン中のユーザーが確認できる機能、行くかもしれない時間帯を登録することでほかのユーザーが時間を合わせて店に行くことができるようになるカレンダー機能、ユーザーや店舗スタッフが交流できるチャット機能などを備える。

 同アプリを利用し、コミュニティ内のコミュニケーションを促進させることで、これまでの常連客に「もっとお店に行きたい」と思ってもらうことや、アプリを見た新規ユーザーに「このお店の常連になりたい」と思ってもらうことを目標とする。

 松田さんは「バーや居酒屋などの飲食店のほか、コワーキングスペースなど、人の交流が生まれやすい場所や施設に声をかけ、アプリの周知を広めていく予定。名護市民の方はもちろん、プラスアルファとして名護の関係人口にあたる人たちにもアプリを利用してもらいたい。オンラインで『名護商店街』コミュニティを作り、関係人口を増やすことで、いずれはオフラインでのイベント開催などにつながっていければ」と意気込む。

 今後の目標については、「最初は名護で『JORENがあればその地域での遊び方がわかる、コミュニティが作れる』というモデルケースを作り、それができたら次の町へ、といったように全国展開していきたい。アプリを核とした地域コミュニティの形成や経済圏の構築を目指したい。会社としては、プログラミング教室など若者のIT人材育成に力を入れ、『やんばるシリコンバレー』として、仕事と人材の創出を行っていきたい」と話す。

 北野代表は「ここから独立した人が市外でも事業展開していくことで、地域活性化につながっていく。そのための潤滑油として機能し、施設を通じて地域貢献をしていければ。グローバル・グローカルな場所として、『何か始めたい』と思う人の第一歩目をサポートするのはもちろんのこと、『ここに来れば仕事じゃない出会いもある』と思ってもらえる場所にもしていきたい」と笑顔を見せる。

■coconova
住所:名護市宮里1004
営業時間:10時~20時(月曜定休)

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札本咲子

投稿者記事一覧

記者・インタビュアー・司会者・PRプランナー
山口県宇部市出身。
2010年よりローカルウェブメディア「山口宇部経済新聞」の記者として、地域の人・もの・ことを取材。
沖縄と山口を行き来しながら、ローカルや人に根差した活動を中心に行っている。

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