玉泉洞の全容発見者・山内さん 世界1500洞窟巡る

 

日本最古の人骨も発見

 山内さんが発見したのは、実は玉泉洞の全容だけではない。石垣島で国内最古となる約2万7000年前の旧石器時代の人の全身骨格を最初に見つけたのも、山内さんだった。白保竿根田原洞穴遺跡で2006年から2016年まで調査が実施されており、2017年に日本最古のものだと認定された人骨で、それまでは八重瀬町で発見されていた約2万2000年前の港川人の骨格が日本最古のものとされていた。

 新石垣空港建設に向けた周辺地区の洞窟調査を依頼されていたことがきっかけだった。全部で約3700mある洞窟のうちの一部、仮で「E洞」と名付けていた箇所で目にしたのは、ヒトの頭蓋骨だ。この人骨自体は日本最古のものとは別のものではあったが、県庁に考古学調査を依頼した。
 洞窟調査に関連して、山内さんには化石の知識も多くあった。「周辺にネズミの化石が大量にありました。自然界ではないんですよ、こんな状況は。人が暮らしていたのではないかってね」
 調査箇所からはそれから、考古学的には貴重な発見である下田原式の土器も含めて複数の人骨が出てきた。それがその後の大発見となった。

沖縄の島の成り立ちや歴史に思いを馳せる

 山内さんは、沖縄の洞窟を知ることこそが「沖縄の島の成り立ちを知ることにつながる。それが分かればどのように自然環境を保全していくべきかが分かります」と話す。
 取材の日、山内さんが現在トレッキングツアーのガイドを務める「ハンターバンの森」の近くにある、琉球石灰岩の自然橋「ハナンダー」まで、山内さんと散策しながら訪れてみた。

 「今こうやって自然橋を見て、その成り立ちを考えるだけで約150万年前の沖縄に思いを馳せることになるわけですよね」と山内さん。鍾乳洞や洞窟の数々が残してくれた壮大な歴史ロマンと、人類史上の新発見を求めて、山内さんはまたもや「地球の中」へと入っていく。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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