“日本のLGBT活動の始祖”南定四郎氏インタビュー 沖縄初のパレード開催から視る「前進」と「危惧」

 

 11月20日、沖縄県那覇市の国際通りを、レインボーフラッグがはためきサンバのリズムが鳴り響く中、ピンクを身にまとった約300人もの人が笑顔でパレードした。「LGBTQなどのセクシャルマイノリティー(性的少数者)にとって生きやすい社会を」と願う人々が集まり、多様な性の大切さを示すイベント「ピンクドット沖縄2022」の一幕だ。

 ピンクドット沖縄の開催10年目にして初めて県内で実現したこのパレード。立役者の一人が、一般社団法人ピンクドット沖縄の名誉顧問で、1994年に国内初となったセクシャルマイノリティーによるパレードを当事者として東京で主催した南定四郎さん(91)だ。1974年から1996年までゲイ雑誌「アドン」の編集長を務めるなど、“日本のLGBTムーブメントの始祖”とも呼ばれる南さんは現在、沖縄に拠点を置き活動を続けている。今回のパレード開催で見えてきた希望や課題について、南さんに聞いた。

パレードの開催は「前進」でもあり「危惧」でもある

南定四郎さん

Q.今回パレードが実現したのはどのような経緯があったのでしょうか?

「前回のピンクドット沖縄の時に、(婚活アドバイザーとしてセクシャルマイノリティーの支援にも取り組む)仲原和香乃さんから『パレードはしないんですか?』という声を頂きました。こちらとしては、パレードをもしやりたい人がいれば考えてみようという気持ちだった中、仲原さんがものすごい熱意でパレード開催について話してくれて、協力してくれることになりました。『あ、こういう方がいるんだったらきっと他にもいるはずだ』と思って、ピンクドットの理事会に提案したのがきっかけでした」

パレードには当事者のみならず多くの支援者も参加した=11月20日、那覇市国際通り

Q.10年目にして沖縄でも初めてパレードが実現しました。このことをどのように受け止めていらっしゃいますか?

「10年は何でも節目になりますよね。紆余曲折がありながらも集大成のような形が出来上がったと思っています。100人来てくれたらいい方だとも思っていましたが、300人も来てくれたので驚きました。参加した人へは勇気を与えられたかと思います。みなさんからは『大成功だ』というようにおっしゃっていただけました。ただ、たしかに数で言えば大成功ですが、それは目に見えた部分なのであって、むしろ私は、この10年間を通してやってきた運動そのものが果たして成功と言えるかという点においては、非常に危惧していることがあります」

Q.危惧していることとは何ですか?

「沖縄でLGBTの活動をしている団体はいくつかあるのですが、個人としての参加はあったものの、団体としてのパレード参加がなかったんですよね。つまり、LGBTであるということを可視化するという行動は非常に重要であるはずなのですが、そこに参加しなかったというのは『偶然参加しなかった』のではなくて『意識的に参加しなかった』はずなんです。ということは、我々の運動に対するある意味での批判なんですね。年に1回のイベントをやっていても、日常の活動が欠落してはいけません。そのことをしっかり見つめ直して反省しないと、仮に来年やっても300人が集まるかは分かりません。私個人としては、非常に危うい場面に今直面しているんだと考えています。もちろん、パレードを実施できたという点で言えば一歩前進できたと思います」

LBGT取り巻く沖縄の現状「未開発」

Q.沖縄では人間関係の近さから、当事者の方がパレードで目立つのを敬遠しているのではというイメージがあります。そのあたりの考えはいかがでしょうか?

「そういう方は当然います。私のパートナーだって、那覇まで車で送ってはくれるものの、パレードには参加しないって言うんですから(笑) 彼の家族親戚は、みんな彼がゲイであることを知っているんですけど、パレードに参加して写真に撮られて取材を受けて、ということに抵抗がある人もいます」

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