タクシーとバスの中間!?ドアtoドアの新交通浦添に トーク弾む車内

 

 実証実験での目標値は、持続可能な運営という観点から①1日当たりの平均乗車数720人②収支率100%③既存の公共交通に負の影響を与えない―をそれぞれ挙げている。

 実証実験開始約10日間では、開始直後で知名度が低いことや市民生活に根付いていないなどの理由で、1日当たり平均乗車数は100人程度にとどまるが、今後テレビCMなども活用するなどして、市民の利用を伸ばしていく構えだ。

 浦添市は過密な都市だ。それ故、市民の利便性向上に加えて、渋滞回避の視点からも公共交通の充実が求められている。2011年度策定の「浦添市交通基本計画」によると、人口集中地区に限って言えば那覇市を上回る人口密度で8500人/㎢と県内で最も高い。混雑時の旅行(移動)速度は、那覇市や宜野湾市と同様に「東京23区や大阪市よりも遅い」とされ、長年の課題だ。また、人口集中地区の拡大に伴って「将来的に急激に増加する高齢者の移動確保に配慮することは重要である」と目標付けをしている。

「公共交通空白地域」を「全て埋める」

 浦添市は国道58号や330号、通称パイプラインと呼ばれる県道251号など、幹線道路が多いため、県内では比較的路線バスが充実している方だが、それでも国道沿いなどから離れたり、目的地とバスの路線が合わなかったりすると、公共交通の恩恵を受けられない人も少なくない。

 バス停から半径200m以上離れていて利用が不便な「公共交通空白地域」を、このドアtoドア交通を以って、市の担当者は「全て埋める」と意気込む。11月下旬には電動シェアサイクル事業も始まる予定で、この「空白地域を潰す作業」にも拍車がかかる。

浦添市の資料より。黄色がバス停から半径100m以内の地域で、青が市街化地域でありながら「公共交通空白地域」とされるエリア。白色は米軍基地や森林などの市街化調整区域

  今のところ、高齢者の通院がほとんどで、子どもたちの習い事の行き帰りにも利用されているという。サンエー浦添西海岸PARCO CITYへの利用も人気が高まっている。

 市の担当者は「例えば友人同士5人でタクシーに乗ろうとして、定員の関係で2台に分乗するよりも、うらちゃんminiにみんなで乗った方が安く収まるかもしれません。浦添の端から端まで行ってみてください」と呼び掛けている。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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