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「劣等感を与えない」学力最下位からの脱出を牽引、元教育長に聞く
- 2020/11/19
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全国一学力が低いとされる沖縄県。しかし小学生に関して言えば、文部科学省の「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)では昨年度で全国総合6位と、むしろ先進県ともいえる。学力の躍進した沖縄県の取り組みを吸収しようと、他府県の教育関係者も視察に訪れるまでになった。一方で中学校は最下位のままだ。
2014年度に初めて小学校の順位が最下位を脱出し24位に躍進した時に県教育長だった諸見里明氏(現昭和薬科大学附属高等学校・附属中学校校長)に、学力テストへの思いや沖縄の教育課題などを聞いた。とにかく何よりも大切にしたのは「沖縄の子どもたちに劣等感を持たせてはならない」という一点だ。自分自身の悔しく惨めだった思い出もあった。
最下位脱出の舞台裏に何があったか
2007年度に国語と算数ないし数学の学力状況を把握する全国学力テストが初めて実施されて以来、沖縄県は小学校も中学校も全国最下位が続いていた。しかし小学校が2014年度に24位となって以降、年ごとに、20位、13位、21位、17位、6位と“最下位常連県”だったとは思わせないほど、中~上位で推移し続けている。
07年に学力テストで沖縄の子どもたちが全国最下位と明るみになって以降、沖縄県の教育行政を司る県教育庁には、県民から「ちゃんと仕事しているのか」などと、多くの批判が浴びせられてきたという。歴代の教育長も喫緊の課題として問題を捉え、努力を重ねてきたが最下位が続き、関係者らは毎年落胆してきた。最下位脱出など遠い夢物語にも思えた。
諸見里氏は、教育長就任前から続く、学力テスト1位の常連県・秋田県との人事交流で先進地の取り組みや手法を沖縄県にも積極的に取り入れた。教員それぞれのやり方ではなく、学年ごとに教員が共に協議を重ねて最適な授業内容を共有、実行することや、しっかりした生活習慣など家庭教育が行き届いていることなどを痛感。実際に「家(や)~なれ~」運動として、沖縄県の家庭教育力の向上に励んだ。