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「保育の専門性認識を」県初選出 保育推進連盟青年部・當銘副部長
- 2020/11/23
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保育事業の充実を目指す全国組織「保育推進連盟」の青年部副部長にこのほど、沖縄県内から初めてあはごん保育園(糸満市)園長の當銘孝文さんが選ばれた。少子化対策や待機児童対策、保育士の人材確保など保育にまつわる問題について、議員などに提言や陳情を行う団体だ。當銘副部長に、沖縄特有の保育課題や変革の激しい現代社会に求められる保育像について聞いた。
―沖縄県内における最大の保育課題は何ですか。
「保育士不足です。自治体によって保育士賃金の助成額にばらつきがあり、沖縄の場合は全国平均に比べ約4万円近く低い現状があります。これは社会全体の保育に対する認識や価値観があまり重要視されていないということが考えられます。保育園は『ただ子どもを預かっているだけ』『遊ばせているだけ』のように、まるで専門性がないかのようなイメージで保育を捉えている人が多いかと思います。しかし実際は、国の方針に沿いながら子どもたちの主体性を伸ばし、人材育成を行う専門職です。このことを行政自体が理解していないのが大きな問題です。子どもの人材育成は0歳から始まっていると考えています。義務教育の始まる小学1年生から始まる、というものではありません。世界的に見てもこのような認識になりつつあります。保育は人材育成の一番の土台です」
―保育士不足は待機児童問題と直接結びつく問題かと思います。
「待機児童問題の解消を目指すプロセスが逆だったのではないかと思います。行政はまず3~5歳の保育無償化を進めたのですが、本当にこの問題を解決したかったら、先に保育士の待遇を上げて人材確保を急ぐべきでした。仮にいくら施設を増やして、いくら無償化したとしても、肝心の保育士がいなければそもそも子どもたちを預かれません。例えば国の基準では保育士1人につき0歳児は3人まで、1、2歳児は6人まで、3歳児は15人ないし20人まで、というように定数があります」
―保育の役割とは。
「この子自身の成長や発達に見合った“主体性”を伸ばして国際社会でも力を発揮できる人材育成をするというのが現代保育の考え方です。これまでに見られた管理型の一斉保育、一斉教育ではなく“自分でやりたいことを見つけて、方法を考えて達成していくこと”を伸ばすことが大切です。主体性を伸ばすことはわがままにさせるということではなく、主体性を伸ばすことがかえって集団的な行動も自覚的にできるようになる、というのが現代の保育理論で提唱されています。主体性は『ゆとり教育』のような、単に時間的猶予を与えて自動的に養えるものではありません。しっかりとした主体性を育んでいくという環境を、保育や教育が(意識的に)整える必要があります」