「保育の専門性認識を」県初選出 保育推進連盟青年部・當銘副部長

 

―現代は先の読めない時代になっていると言われます。そんな中で保育はどうあるべきですか。

「(AIやIoTによる大きな変革後の)ソサエティ5.0のような、近い将来でさえどのような社会になっているか予想が難しい時代、その時々で問題解決力や自己肯定感が子どもたちの中に育っていれば、壁にぶつかっても『どうにかして解決しよう』と自分から思えます。これまでは、学力や記憶力、認知能力が社会的に評価される力とされ“良い就職口”も保証されてきました。これからは非認知的な解決力や情報選択能力、コミュニケーション能力が、社会を生き抜き対応し続ける上で大きな力になります。この非認知能力の土台は乳幼児期に作られると言われています。この時期に(いわゆる学力的な)認知能力を教えたがる親御さんも多いかと思います。これは賛否が分かれるところですが、非認知能力は乳幼児期に伸ばしておいた方がいいと思います」

―貧困問題など、子どもたちを取り巻く問題が沖縄県では大きな課題です。

「沖縄は貧困家庭が多いため、虐待の多さにも相関関係があります。人は怒鳴られると脳が委縮してしまうんです。(アメリカの心理学者)マズローが提唱した欲求段階説では、命の維持に必要な水や睡眠といった『生理的欲求』の次に必要なものとして、『安全の欲求』が挙げられています。いかにその人が安心や安全を感じていられるかというものです。まさに子どもたちにとって、心が安らいでいられる“大人との信頼関係”が求められます」

引用:httpscreationconsulting.co.jp2016051911

「前に、息子が少年野球チームに入りたいとのことで、一緒に練習の様子を眺めていたのですが、怒鳴り散らかす指導を行っていました。そのやり方で結果が伴っているかといえば、あまり試合に勝てていないとのことでした。逆に、安心を与えられる大人の存在の重要性を理解しているコーチや監督がいるチームは試合でも勝てているのではないか、という感覚はあります。失敗を恐れて子どもたちが自分に制限やブレーキをかけるようになるほど、自らの能力を引き延ばすことにもブレーキをかけるようになってしまいます。話は変わりますが、子どもがいたずらをした時に、僕たちの時代は『やなわらばー!(クソガキ!)』と言われて怒られてきました。しかし、逆にあの探求心こそがチャレンジ精神につながっていくはずです」

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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