絶滅危惧種「サガリラン」 増殖株が培養容器内で開花、沖縄美ら島財団

 
培養容器内で開花したサガリラン(提供:一般財団法人 沖縄美ら島財団 総合研究センター)

 沖縄美ら島財団は、地域関係者や有識者と連携し、絶滅危惧種である「サガリラン」の保全活動に取り組んだところ、増殖株が培養容器内で開花するに至った。開花株の1つは、保全に向けた取り組みの紹介と共に、海洋博公園熱帯ドリームセンターで今月12日まで展示される予定。

奄美大島に自生 開発、乱獲で数が減少

 サガリランは、国内では世界自然遺産に登録された奄美大島の一部地域のみでしか見られないラン科の植物。高い木の上に着生し、ぶら下がって生育する様子からその名が付けられた。長く伸びた茎の途中から花芽を伸ばし、黄色い星形の綺麗な花を多数咲かせる。

 冷涼多湿な場所を好み、元々生息できる場所が少ないため、残存している個体数が少ない。さらに自生地の開発や観賞などを目的とした乱獲により数を減らしている。そのため、環境省レッドリストで「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」とされる「絶滅危惧IA類(CR)」に選定されている。

 奄美大島に自生する個体は中国、ベトナム、タイ、ミャンマーなど分布域の北東限に位置し、ランの分布様式や琉球列島の成り立ちを考察する上でも重要な種と考えられているという。

最適温度の研究で成果

サガリランが展示されている熱帯ドリームセンターがある本部町の海洋博公園

 サガリランは自然環境下では菌と共生しないと発芽しないが、沖縄美ら島財団の総合研究センターは細菌やカビなどが存在しない環境で行う「無菌培養」という技術を活用。有識者と連携し、人工的に養分を調整した培地に種を蒔き、育成に臨んだ。

 その際に最も注力したのは、育成に適した温度を模索すること。代表研究者を担った総合研究センター植物研究室の佐藤裕之主任研究員は「何度くらいまでなら大丈夫で、その中でも何度までが育成に最適なのかを調べました」と解説する。30度以上だと生長が鈍ることも分かった。

 その結果、5月に培養容器内で3株の開花。現在、開花条件の解明に向けさらなる研究中だという。

 佐藤主任研究員は「今回の開花株の展示を通して、琉球列島に貴重な植物が存在し、それを守るために活動している人が多くいることを知ってもらいたい」と話した。

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