県民は何を望んだのか 公文書でたどる復帰 「日本復帰と沖縄」展

 

「県民が日本復帰に望んだものは何だったのか」。沖縄県の日本復帰50年の企画展示として、南風原町にある沖縄県公文書館の展示室で『日本復帰と沖縄』展が始まっている。入場は無料で、期間は今年12月28日まで。

 展示では1872年の琉球藩設置をスタート地点に、1945年に沖縄戦で米軍が上陸してからの27年間の米国統治下、そして72年の日本復帰から現在までの150年間を公文書を通してたどる。

 公文書専門員の麻生清香さんは「150年の歴史を通して見渡した時に、沖縄の現在の“立ち位置”がどう浮き上がってくるのかということを意識しています」と企画意図を説明する。「復帰という大きな出来事を通して、『当時の人々が守りたいものは何だったのか』ということや『これから沖縄がどんな風になってほしいか』を考える機会にしてほしいですね」と話し、来場を呼び掛けている。

150年間を4つの時代区分で概観

 展示は①「ヤマト世」の66年~同化と戦争への道~、②「アメリカ世」の27年~軍事要塞化の時代~、③1972年前後~激動の日本復帰~、④新生沖縄県の50年~平和で豊かな島を目指して~の4区分で、沖縄が置かれた状況と時代に応じてセクションが区切られている。展示室のスペースはコンパクトながら、90点の資料と52枚の写真が並ぶ。展示資料そのものと添えられた説明文をじっくり読み込むと、おそらく2~3時間は必要になるであろう、かなり濃厚な内容となっている。

 時代順に展示資料を見ながら、要所要所で麻生さんに解説をしてもらった。

 先ずはいわゆる「琉球処分」から沖縄戦にかけての「ヤマト世」の区画。当時の琉球の人々を「日本人」にするための同化政策に少しずつ力を入れていく過程が、資料を通してうかがえる。当初、明治政府は現地からの不満や反発を避けるため、旧来の土地・租税・地方制度の全てを継承する「旧慣温存策」を統治の方針とした。

「この頃には沖縄の人が差別される出来事や風潮もあり、日本と琉球の人のルーツを巡る議論が活発に起こっていました」(麻生さん)

 ちなみに米軍の沖縄上陸前にまとめられ、兵士に配布された小冊子『琉球列島に関する民事ハンドブック(原題:Civil Affairs Handbook Ryukyu Islands)』には、日本人と琉球の人たちについて「日本人は琉球人を人種的に同等とは見なしていない。(中略)したがっていろいろな方法で差別されている。ところが沖縄の島民は日本人に対して劣等感をもつどころか、かえって彼らの伝統と中国との長い文化的絆に誇りすら持っている」と記述されており、戦後の軍政運営も見据えたリアリスティックな分析的視点を垣間見ることができる。

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