常設展へ行こう 学芸員が語る魅力〜沖縄県立博物館・美術館 美術工芸編(3)

 
黒漆山水楼閣人物螺鈿机(沖縄県立博物館・美術館所蔵)

 博物館や美術館の学芸員に常設展の見所や魅力を語ってもらう「常設展へ行こう」。

 県立博物館・美術館の美術工芸部門の学芸員を務める伊禮拓郎さんに戦後沖縄最初の博物館・東恩納博物館の館長を務め、古美術収集家でもあった大嶺薫氏その人と、氏のコレクションについて語ってもらった。

沖縄の博物館の基礎を作った人物

 1983年、大嶺氏が戦前から戦後にかけて収集した世界各国の美術品数千点の中から、3,000点以上の資料が県立博物館に寄贈された。昨年12月から今年1月にかけて没後50年展も開催された。常設展でも、年に1回は彼のコレクションが展示されるという。

「鐘などかなりの重量がある物でさえ海外に流出していた戦後最初期、文化財の重要性を認識し収集活動に取り組んだのは、文化財流出を防ぐという面で極めて大きな意味がありました」

 大嶺氏は実業家で、骨董収集を趣味としていた。戦後間も無い1945年8月に米国海軍軍政府によって設立された「沖縄陳列館」が、翌年に沖縄民政府に移譲されて「東恩納博物館」となり、大嶺氏が館長に就任。館長として資料収集に奔走する。1953年に首里博物館と東恩納博物館が合併して「琉球政府博物館」となった際に館長を辞した。その後も琉球文化財専門審議委員などを歴任するなど、戦後沖縄文化復興の礎を築いた。

大嶺薫氏のコレクションについて語る伊禮さん
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