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水難時に居場所発信!那覇の企業が機器開発 県内の領海ほぼ網羅
- 2022/8/22
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海水浴など水辺のレジャーに出かけることが増える夏のこの時期、同時に気を付けなければならないのが水難事故だ。特に今年は1~6月にかけて沖縄県内で発生した水難事故が40件と、過去10年の同時期と比較して最多となっている。8月6日には大宜味村のター滝で増水による死亡事故が起きたばかり。4月に北海道で起きた知床遊覧船沈没事故の行方不明者捜索は今もなお続いている。
そんな中、水中などのアウトドア環境でも位置情報を発信し続け、スマホやタブレット端末の画面上で即座にその場所が分かる「SEAKER_L3」を、QUADRA PLANNING株式会社(那覇市、飯野敬明社長)が開発し、ことし4月から販売を開始している。障害物や遮蔽物が無い状態では地上のアンテナから100km離れていても送信できるもので、沖縄本島の場合は領海(12海里=約22.2km)のほぼ全域をそのカバー範囲に入れている。
ダイビングやシュノーケリングなどを楽しむ際に身に着けて位置情報を発信し「見える化」することで、水難事故時の捜索・救出活動に効果を発揮するだけでなく、アクティビティ業者にとっても安心安全のサービスを提供できることにもつながっている。
ソニーの通信技術を応用 電池1つで200時間
同製品はソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(東京都)が提供する通信サービス「ELTRES™ IoTネットワークサービス」を活用して開発された。スマホやパソコンの地図画面で、海洋上でも使用者の位置を把握・追跡することができる。
携帯電話などの電波とは使用帯域が違うもので、長距離での電波のやり取りが可能なことに加え、荒天時の海上でも波などで電波が遮断されることがない。また、通信にかかる電力も「Bluetooth(クラス1)の約5分の1」(飯野社長)といい、電池1つで最大200時間も作動することから、捜索・救出活動の途中で電波が発せなくなる事態が起きてしまうリスクを抑えた。
飯野社長によると、これまでにも同様の海外製品はあったものの、3km程度の距離しか送信できず、連続使用時間も長くて20時間程度だったという。さらに、電波法の関係で海外製の従来品は国内での使用が叶わなかったが、日本の法律をクリアした上で使用に際する届出が不要なため、誰でもすぐに使うことができる。