那覇軍港移設問題 「翁長前知事の思いを汲んで前に進めるべき」 翁長政俊元県議
- 2020/9/29
- 政治
県政与党間でも分かれる賛否
県、那覇市、浦添市の首長による合意が形成された今だからこそ、話を前進させることの大切さを説く。そこで政俊氏が危惧するのは、玉城知事の姿勢のブレだ。翁長前知事の路線を継承して誕生した玉城知事は、那覇軍港の浦添移設に関しても「北側案」を推進してきたが、玉城知事を支える“オール沖縄”勢力の一部からも批判の声が挙がってきていた。
県議会与党の会派別では、共産党(7人)は一貫して「軍港の無条件返還」「移設そのものへの反対」を色濃く打ち出す。報道によると、日本共産党の議員団らは8月4日に県庁を訪れ、池田竹州知事公室長を通して、玉城デニー知事に無条件全面返還を求めることを要請。同月8日には浦添市役所で松本市長に抗議、移設に反対するよう文書で要請した。西銘純恵県議は「議会ではかることなく(市長は北側案を受け入れる)結論を出した」と批判した。
社民党や社大党の議員らでつくる会派「沖縄・平和」(7人)も「キャンプ・キンザーの返還で移設を巡る前提条件が変わった」として移設に反対する。
一方、会派「おきなわ」(3人)は、翁長前知事や玉城知事が移設を容認していることや、移設が経済振興や基地負担軽減につながるとして移設に賛成の立場だ。
会派「ティーダネット」(7人)は、会派内でも賛成、反対、保留と、議員ごとに立場が分かれる。
浦添を助ける意味でも「早期の民港計画を」
政俊氏は「革新は革新で『辺野古移設に反対するなら浦添移設にも反対を』と迫り、保守は保守で『辺野古の埋め立てと浦添の埋め立ての何が違うんだ』と整合性を求めて責める。しかし、究極的には“基地の整理縮小“が目的なのではないでしょうか。そのためには、玉城知事は“翁長前知事路線の継承者”として『前知事が強く願った現行計画を推進するんだ』という姿勢を貫くことが大切だと思います。そこを間違えてはいけません」と主張する。
それは翻って「浦添市を側面支援することにもなる」という。浦添市には軍港の北側案を受け入れた見返りとして、民港整備計画の協議で主導権を握りたいという思いがある。
2013年に日米両政府が合意した嘉手納以南の統合計画によると、早ければ2025年にも軍港の移設先に隣接するキャンプ・キンザーの返還が実現する見通しだ。タイムリミットが迫る中、その跡地と一体となった開発のために、軍港移設計画の足踏みは許されない。「(民港も含めた)西海岸開発を前に進めることこそが、今の浦添市を助けることにもなる」と政俊氏は繰り返した。