那覇軍港移設問題 「翁長前知事の思いを汲んで前に進めるべき」 翁長政俊元県議
- 2020/9/29
- 政治
棚上げされた軍港問題
那覇市から浦添市に広がる那覇港を管理するのは、県、那覇市、浦添市が構成する那覇港管理組合だ。その運営をチェックする管理組合議会の議員を18年まで足掛け約4年間務めてきた翁長政俊・元県議は「軍港位置の議論がずっと棚上げになってきた」と指摘する。いつまででも放置するわけにはいかない。政俊氏はそう考えて、組合議会での質問でも、浦添市が求める議論のテーブルに、県と那覇市がつくように促すなど、3者の首長が地元合意の落としどころを探ることを重要視してきた。
とはいえ、軍港の形状や配置に関して、那覇港管理組合ではあまり議論されなかった。それには明確な理由がある。管理組合の一義的な目的は那覇港の管理運営であり、民港整備だ。物流機能の拡充や観光客の誘致、環境保全などについて議論する。
軍港の位置などに関しては、国(防衛省・内閣府・国土交通省)、沖縄県、那覇市、浦添市、那覇港管理組合からなる「那覇港湾施設に関する協議会」で協議されることとなる。
南側案難色に「民港と軍港の隣接」
那覇港には、4つのふ頭がある。周辺離島便などが発着する「泊ふ頭」、本土へのフェリーや国際貨物便などが発着する「新港ふ頭」、鹿児島方面へのフェリーなどが発着する「那覇ふ頭」、そして不定期便が発着する「浦添ふ頭」だ。
県の立場として、米軍普天間飛行場の名護市辺野古(キャンプシュワブ沖)への移設が、基地機能強化も含めた「新基地建設」とすることに対し、那覇軍港の浦添移設は「港湾区域内での移動」との位置づけだ。普天間飛行場の辺野古への移設と那覇軍港の浦添への移設も、どちらも県内に移設して新たな米軍施設を作ることではないかとの指摘もあるが、浦添移設については同じ港湾区域内の移動だから問題ないとの立場だ。
加えて、県全体の振興発展の観点や安全性の担保という面でも、那覇軍港は浦添への移設が最適との評価に至っている。
政俊氏は「オスプレイの場合は、(基地周辺のみならず飛行ルートも含めて)市街地上空を飛ぶなどの現状があるが、那覇軍港の場合は、民港から離れた場所に軍港を造るということになるので、危険性は少なからず軽減されるという認識がある」と解説する。
また、県や那覇市などが、移設先である浦添市が望む「南側案」に難色を示してきたのは“技術的な問題”があるからとも言われている。
県や那覇市が「北側案がベストだ」と考える背景について、政俊氏は「民港部分と軍港部分が離れていて、民港の港湾機能に支障が出ない」ということを挙げる。
2017年11月の那覇港管理組合議会でも、同管理組合の金城勉・常勤副管理者(当時)は「北側案は支障がなく、南側案は大変に支障があるという評価は変わっていません」と答弁した。
民港と軍港が隣接する状況では、両方の船舶がニアミスを起こしやすいなど、港湾施設としての管理・運用が難しいとの考えだ。