那覇軍港移設問題 「翁長前知事の思いを汲んで前に進めるべき」 翁長政俊元県議
- 2020/9/29
- 政治
雄志氏が市長時代から積み上げてきたもの
生前、北側案を強く支持していた翁長雄志前知事は、那覇市長時代から軍港移設問題に関わってきた。その軍港移設問題と切っても切れないのが「跡地利用計画」だ。那覇市は跡地利用計画の基本構想を1996年にはすでに策定するなど、多くの時間や労力、予算を割いてきた。調査報告書には「全天候型公園ゾーン」「人工ビーチ」「国際交流ゾーン」などの記述が並び、明るい未来の親水ゾーンを描いた。大型MICE施設の誘致にも取り組んできた。那覇市は地権者にMICEへの理解を深めてもらおうと、勉強会も重ねてきた。
今回の3者の合意では、浦添市だけでなく那覇市もその実現に意欲を示す。今度こそ那覇軍港移設問題を解決に持ち込み、跡地利用開発を進めたいからだ。翁長政俊氏は「那覇軍港の移設の実現に並々ならぬ意欲を見せていた翁長雄志前知事が、市長時代も含めて積み上げてきたものをパーにしてしまわないようにしたいという思いを感じる」と話す。
雄志氏がいかに北側案を推進していたかを示す象徴的なエピソードがある。管理組合議会で政俊氏が「浦添市案(南側案)にも耳を傾けながら、首長同士で話をすればいいじゃないか」と知事、すなわち組合管理者である雄志氏に質問をぶつけた時だった。
政俊氏は言う。「そしたら、彼が僕に何を言ったかというとね『翁長(政俊)議員、本当に南側案が良いと思っているんですか』と逆質問するんですよ」。答弁側がいわば逆質問をすることは異例だ。「このことは、(雄志氏が)いかに北側案で物事を進めていきたいのかという強い気持ちの証となっていると思います」
菅義偉首相も跡地利用に意欲を示している。共同通信の報道によると、菅首相が官房長官時代の2019年12月、那覇軍港を視察した後「早期移設を実現したい。沖縄県の経済の起爆剤として、高いポテンシャルを持っている」「東京ディズニーランドより広く、ハワイのアラモアナセンター(ショッピングモール)の約3倍ある」と述べている。
政俊氏は、那覇港が県全体の港湾物流の大半を担っていることに触れ「物流や物資の集積を考えると、港湾整備は避けて通れない」と話す。特に島しょ地域である沖縄は、物流面でも交通面でも港湾関係のインフラ整備は必須となる。
「那覇空港の第二滑走路も整備された。鉄軌道の計画も進み、高速道路の那覇空港までの延伸工事も進んでいます。でも、那覇港の整備は半世紀も足踏みが続いたままです」