“クセが凄い”杜氏が語る「津嘉山酒造所」の泡盛と歴史

 
「國華」について語る秋村さん

 フォロワー2500人を超える津嘉山酒造所の公式Twitterで、秋村さんがバニラアイスと國華の古酒が合うということをツイートすると、ウイスキー好きや日本酒好きの人たちから反響があった。
 意外かもしれないが、複雑かつ豊かな風味を持つウイスキーや日本酒と、プレーンな味のバニラアイスとの相性は抜群に良い。酒を愛好する人たちの間では、この組み合わせはいわば“テッパンの美味しさ”として知られている。それを泡盛に応用して、“濃い目の酒好きたち”を引き込んだ。

 実際にバニラアイスに合わせて飲んでみると、泡盛独特の匂いはクリームでまろやかに包み込まれ、甘やかでトロピカルな香りが口いっぱいに広がる。その味わいはさしずめ「大人のデザート」だ。
 秋村さんは「よく『正式な飲み方が分からない』という声を聞きますが、そんなものはないんです」と断言した上で、その時々の気分やコンディション、目の前にある肴に合わせて、自由な飲み方で楽しむことが大事だと強調する。

「おちょこでストレートでちびちび飲んでもいいし、炭酸で割ってぐびぐび飲んでもいい。縛られずに決めつけずに色んな飲み方を試してみれば、楽しみも広がりますよ」

“広がり”のきっかけを提供する

 泡盛の可能性を追い求める一方で、秋村さんはこれまで、そして現在の泡盛業界のあり方について「泡盛を『沖縄のもの』と大事にし過ぎている雰囲気から逃れられていなくて、開かれていないのは問題だと思うんです」と切り込む。県外では沖縄の知名度とともに泡盛の認知度も上がってはいるが、実際に口にしたことのある人はそんなに多くはない現状を指摘する。実際、秋村さん本人がそうだった。

 さらに、近年は県内でも特に若年層が泡盛を率先して飲む機会も少なくなっている。沖縄県酒造組合によれば、泡盛の出荷量は16年連続で減少。2004年のピーク時からほぼ半減している。さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響による酒類提供店への休業要請などもあり「酒が悪者にされている」現状もある。

 また、泡盛はこれまで観光客向けに基本的に沖縄料理“だけ”に合わせて提供されるケースが多く、「沖縄料理にしか合わない酒」というイメージが固定化されている印象も拭えない。
 しかし、上述した秋村さん提案のバニラアイスとの組み合わせにもみた他にもフレンチやイタリアン、中華など、さまざまなジャンルの料理に合わせられるポテンシャルは確かにある。売り出し方や提供の仕方で、泡盛の魅力をいくらでも引き出すことができるのも紛れもない事実だ。

 「うちの場合は酒好きはもちろん、建物好き、写真好き、歴史好きも取り込める要素があるので、そこから泡盛につなげることができることは強みです」と話す秋村さん。泡盛受容の拡大を見据えて、津嘉山酒造所の歴史や建物という強力なコンテンツを「泡盛への入り口」と位置付けながら、酒造りと情報発信を続ける。

「國華は、昔ながらの製造方法に則って1人の人力で造っているので、シンプルでオーソドックスな味わいの酒になっていると思います。だから、國華をスタンダードとして、それから他の酒造所の泡盛も味わってそれぞれの違いと美味しさを知ってもらう、という流れを作るきっかけを提供したいですね」

■関連リンク
津嘉山酒造所WEBサイト
津嘉山酒造所・公式Twitter

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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