“クセが凄い”杜氏が語る「津嘉山酒造所」の泡盛と歴史
- 2021/9/14
- 食・観光
「過去8年間で5万人の見学者がお見えで、そのうち8~9割がリピーターとして見にくるんですよ。正直、1回見てそれで満足してもらったら、別に2度と来なくていいんです(笑)でも『なんでまた来たの?』って聞いたら、特に年配の沖縄の方だと、自分たちのお家みたいだったから子どもや孫に見せたくて連れて来た、と言ってまた来てくれるんですよ。
本島だけでなく離島の方からも言われます。だから、多くの沖縄県民が思い描く理想だったり、懐かしさを覚える建物なんでしょうね。でも純粋に沖縄かと言ったらそうでもなくて、本土の様式もちょこちょこ取り入れられてるんです。ここから分かるのは、戦前の沖縄の人の感覚ですね。ここよりも古い古民家はたくさんありますが、茅葺き屋根だったりするとやっぱり身近さはあまり感じない。でもここだとある程度理解できるんですね。見てくれた人は、ここの風景が今も『生きてる』って言ってくれます」
「正しい飲み方」なんて無い
秋村さんが津嘉山酒造で働き始めたのは13年前。もともとは東京でサラリーマンをしており、その時の上司が酒造所工場長の親族だった。勤めていた会社が倒産し、数ヶ月滞在するくらいの軽い気持ちで沖縄を訪れた際、工場長に誘われて「それまでは泡盛を1滴も飲んだことなかった」が酒造所を手伝うことになり、あれよあれよと時が過ぎて現在に至っている。
大手メーカーで作られる泡盛は、ある程度の規模で大量に商品を製造するため、味を均質に整えてボトリングする。対して津嘉山酒造所の「國華」は、製造する分量が限られているため、出荷できる数は少ない。しかし、仕込んだ年や熟成させた甕ごとに味が違うため、そのバリエーションを味わう楽しみがある。
「ウチナーグチで言えばかなりてーげー(大雑把)で手作り感満載ではありますが、甕によってはメープルシロップのような香りがするものもあるし、色がつくこともありますよ。ウイスキーやブランデーのような洋酒に通じる香りの要素を持つこともありますね」