美ら島に学ぶ 島野菜の長寿ごはん① カンダバージューシー 

 

 沖縄料理といえば、島野菜。ゴーヤーやナーベラーなど戦前から食され、沖縄の郷土料理に使われているなどの条件を満たす島野菜を県は伝統的農産物として定めている。その数は28。健康長寿の島として知られてきた沖縄を象徴する食材だ。ところが、沖縄の看板だったはずの健康長寿は、いまや見る影もない。

 2015年の厚生労働省の調査では、沖縄の男性の平均寿命は都道府県別でなんと36 位(女性は7位と高ランキングをキープ)。アメリカ流の食生活の普及で肥満症や糖尿病が激増したことがその原因と見られている。かつて1970年代に糖尿病による死亡率が全国で最下位だった沖縄だが、2000年代に入ると、逆に全国トップというありさまだ。

沖縄伝統料理の復権を!

 今こそ健康食材を使った沖縄伝統料理の復権が待たれている。そこでHUB沖縄では、島野菜を使った沖縄の料理のレシピと作り方を紹介していきたい。

 まずは沖縄の定番料理、ボロボロジューシーだ。使う野菜はカンダバー。本土ではかずらの名前で知られる。ビタミンA、C、B1,B2、食物繊維が豊富だという。作り方を教えてくれるのは、那覇市内の料理店「酒肴 紅」のママ、末吉るみ子さんだ。野菜ソムリエの資格を持つ、島野菜の専門家でもある。

 お店のメニューは沖縄料理がほとんど。でもるみ子ママの母親は「ハイカラな料理が好きだった」とのことで、沖縄料理は独学。「だから、伝統的な調理方法というより、我流なの。あまり胸を張って人に教えられるものではないのよ」と苦笑いしたが、私はこれまでのお喋りで、るみ子ママが『南の島の栄養学 おいしく食べて元気に長生き』などの著書がある尚弘子さんを尊敬し、試行錯誤してきたことを知っている。

 るみ子ママと同じく、実の母親に料理を習うことがなかった私は、「沖縄料理は我流」と言うママにほっとして、「沖縄料理を教えてほしい」とお願いすることができた。

今さら聞けないからこそこの機会に

 さて、本題のカンダバージューシーだ。料理はカンダバーの茎を取ることから始まる。

 茎取り作業をする横で、火にかけていた鍋がコトコトと音を立て始めた。お米と一緒に炊いているニンジンがしんなりしてきて、そろそろ、主役のカンダバーを入れる頃合いだ。

 カンダバーの葉は粘り気がある。葉をこすり合わせると山芋のような粘りが出る。昔はこれを、髪の毛の保湿、トリートメント代わりにすることがあったそうだ。

「私はやったことないけどね。どんだけの量の葉を揉まなきゃいけないんだ」

 ママは笑いながら、煮込んでとろみが出た鍋に、カンダバーの葉を入れた。「昔はカンダバーなんて、いくらでも手に入ったからね。そんな使い方もできたはずね。今は畑が少なくなったから店で買うことが多いけど、確かに昔は、『カンダバーを買う』なんて発想なかったね」と振り返った。

 なお、カンダバーではなく、フーチバーや空芯菜を使うときは、最初に米を煮るタイミングで鍋に入れるのがいいそうだ。空芯菜などは、カンダバーよりも葉が固いからだ。

 島野菜と並んで豚肉も沖縄料理に欠かせない。ジューシーも、豚あぶらをいかに上手に使えるかで味が決まるが、今回はあっさり味を重視して、豚肉は使わなかった(「二日酔いの朝に食べられるものを」と、しきりに要求したことが原因かと思われる)。豚肉を使わなくても、隠し味の味噌がコクを生み、ふんわりとしたバターの香りが食欲をそそった。

 私は生卵が苦手で、そのことを覚えていたママは、最後に玉子を鍋に落とした後、すこし長めに熱を通してくれた。

「時々、子どもたちにこれ作ったのよね」

 ママの末の息子さんは先日、進学のため東京へ出たばかり。今は夫と二人暮らしだ。

「元気かなあ。作っていると自然と思い出すね」

 ボロボロジューシーに感じていた家庭的なイメージが、さらに強くなった。

カンダバーのボロボロジューシーの作り方

調理時間 目安15分
■材料(3人前)
①炊いたお米・・・3人分
②卵・・・3個
③ニンジン・・・10グラム程度(今回は島ニンジンも使用)

食感が出るように、すこし厚めの太さでニンジンを千切りにしておく。
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