日常に美味しい幸せを 「papoter pepin パポテぺパン」(首里当蔵)

 
ゆんたくしながら笑い声が響く店内

 首里城に通じる当蔵の通りから路地にほんの少し入った場所に、コンクリート造りのこぢんまりとした建物がある。看板にはおやつ、コーヒー、そして自然派ワインの文字。今年5月にオープンした「papoter pepin(パポテペパン)」は、中森周さんと妻の早紀さん2人で営む小さな店だ。店内には鮮やかな色や絵柄が目を楽しませるエチケットのワインボトルと、焼き菓子を中心に常時約20種類のおやつが並び、コーヒーや自家製シロップで作るジュースも取り揃える。自然派ワインへの愛と情熱溢れるソムリエの周さんと、食材と誠実に向き合いながらお菓子を焼き上げるおやつ担当の早紀さんに共通するのは「素朴だけれどきちんと美味しい“小さな幸せ”を日々の暮らしに届けたい」という思いだ。

ワインを気軽な選択肢の1つに

 店名はフランス語で、「パポテ」は「気の合う人とのおしゃべり」、「ペパン」は「種」の意。2つの言葉を合わせて「おしゃべりの種」という造語にした。親しい人たちとゆんたく(=おしゃべり)しながらゆっくりとおやつを食べ、コーヒーやワインを飲む時間を作るきっかけ(=種)を提供したいという意味が込められている。

 高知県出身の周さんは大学生の頃に沖縄に移住した。飲食のアルバイト経験の中でワインに出会い、ソムリエの資格を取得。県内のワイン専門店やビストロに勤めながら、ワインの見識を深めていった。ソムリエになる前から漠然と持ち続けてきた「パティシエと2人でお店をしたい」という夢を具体化するため、2年前に独立を決意した。開店資金を貯めに1年間県外で働き、今年の開店までこぎつけた。

 周さんはソムリエとして、常に「かしこまらないで、気軽に気楽にワインを楽しんで飲んでほしい」ということを強調している。ワインには高級な印象や「知識がないと飲めない」といった様々な誤解があって、それが障壁になっており、飲むことに対して構えてしまう人が多い現状に対して疑問を投げかける。価格は高いものもあるが、味相応の値段で手ごろに買えるものもあるし、知識は専門家に相談すればいい。1人でも多くの人が気軽にワインを手に取り、その豊かさを味わってほしい気持ちから「決して高嶺の花ではないし、そんな扱いもしてほしくない。“とりあえずワイン”ぐらいの感覚で、身近な飲み物の選択肢の1つにしてもらいたい」と繰り返す。

自然派ワインのボトルを吟味する周さん
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