ラーメン不毛の地・ボリビアに本格店上陸 県系3世の神谷さん

 
ボリビアでラーメン店「Miso Restoramen」を営む神谷あきらさん

 ボリビアの第二の都市と呼ばれる商業都市・サンタクルス市でラーメン専門店「Miso Restoramen」を開業し、日本文化を伝えているのは店主の神谷あきらさん(42)。数年前までボリビアには、日本料理といえば寿司店しかなかったが、ラーメン熱を根付せた。日本のラーメンの味に近いと好評で、子供から大人まで、幅広い世代から人気を集めている。鶏ガラと豚骨をベースとした2種類のスープと自家製麺で7種類のラーメンを提供。ラーメンを通して日本の文化を伝えるなど取り組んでいる。

ボリビアへ“里帰り”がきっかけ

 店長の神谷さんは、沖縄県系2世の父とボリビア人の母のもと、ボリビアのスクレ市で3人兄妹の長男として生まれた。沖縄県東風平村(当時)出身の祖父・神谷健さんが1954年に琉球政府計画移民の第一次移民でボリビアに移住し、父・強さんは産婦人科の医師を務めていた。

 神谷さんは、19歳から日本に出稼ぎに行き、15年間東京・浅草で電気工事の仕事に就いた。日本での生活を「文化や社会のルールに慣れるのに苦労した」と話す。
 ラーメン店創業のきっかけは、日本からボリビアに里帰り旅行をしている時だった。

モダンな店内「いらっしゃいませ!」

 「Miso」のオーナーである県系2世の中田マルコスさん(59)は、当時、日本料理は寿司店しかなかったボリビアにラーメン専門店を作りたいと考えていた。マルコスさんと神谷さんは仲が良く、ボリビアに里帰り旅行をしていた神谷さんに「ラーメン店を構想していて、店長になる人を探している」と話すと、神谷さんがそのアイディアに興味をもった。

 料理や経営の知識も経験もなかった神谷さんだったが、不安はなく、期待のほうが大きかったと話す。神谷さんは開業に向け、日系人の料理人から直接指導を受け、ラーメン作りの修行に励んだ。こうして、Misoは2019年3月に開店した。料理未経験だった神谷さんは、今では自らキッチンに立ち、料理の下ごしらえから盛り付けまですべてをこなす日々である。

 「Miso Restoramen」と大きく書かれた店舗看板の外観に、店内はモダンで上質な雰囲気。
 日本の街並み風景や相撲、祭りなどのパネル写真を店内に飾り、お客さんが入ると「いらっしゃいませ」とスタッフの威勢の良い元気な声が店内に響き渡る。

Miso Restoramenに来たお客さんと店内の雰囲気(同店提供)

アニメ「NARUTO」モチーフのラーメンも

 Misoは、鶏ガラと豚骨をベースとした2種類のスープと自家製麺で7種類のラーメンを提供している。海鮮を使った海鮮ラーメン、赤味噌ラーメン、やんばるラーメンの他、餃子やチャーハンなどのサイドメニューがある。自家製麺は細麺タイプでやや柔らかいため、もしも日本人が来店した場合には少し固めで提供するなど、お客さんに合わせて提供する。日本のラーメンに近いと日本人からも好評だ。

 中でも一番人気の「いちらくラーメン」は、ボリビアで人気の日本アニメ「NARUTO」の主人公うずまきナルトの大好物「一楽ラーメン」に近づけて提供している。ボリビア人の子供たちがナルトの格好を真似して、額当てやマントをしてお店にラーメンを食べにくることも頻繁にあるほど人気が高い。日本アニメとラーメンを掛け合わせることで、日本文化を伝えることにもつながっている。

1番人気の「いちらくラーメン」(Miso提供)

NARUTOが好きなボリビアキッズ(Miso提供)

「ボリビア1目指す」見据える店舗拡大

 Misoは今年で創業2年目を迎えた。創業半年後に、大統領選の不正が指摘され、クーデターが発生。そのさらに半年後は、新型コロナウイルス感染拡大により街はロックダウン。お店の休業を繰り返し、頭の痛い思いでいた。今では、コロナ対策を行い、以前と変わらないほどに客足が戻ってきた。今もなお続くコロナ禍に不安も大きいが、「トラブルや課題はむしろ大好き」と明るく前向きに話す店長の神谷さん。

 神谷さんは、「ボリビア1のラーメンを目指す」といい、今後、ボリビアに2店舗、3店舗目をオープンしたいと目標に掲げる。ラーメンを通して「これからもボリビアの人たちに日本の文化と美味しいラーメンを伝えたい」と話す。

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安里 三奈美

投稿者記事一覧

ボリビア在住3年、1児の母。フリーライターとして観光や沖縄県系コミュニティーについてWEBや紙媒体で執筆、寄稿等を行う傍ら、家系図や家族史・自分史の制作会社の代表も務める。2011年に県系の若者をつなぐネットワークを構築、県系若者が集う大会を世界各地で開催。2015ミスうるま。著書に「刻まれた21cm」(文芸社)

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