支援を1人でも多くの被害者に(1) 「沖縄被害者支援ゆいセンター」の活動
- 2020/10/24
- 社会
「結婚1年頃から夫からの暴力を受けています」「夫がバイクを運転中、急にUターンした車と衝突して死亡しました」「自宅で就寝中に、侵入してきた男に乱暴されました」
日々のニュースで見かける事件や事故には、必ず被害者が存在する。報道で目にする限りでは、全くの他人事として受け止めるか、気にせず流してしまうのが普通だが、実際には自分自身が被害者になる可能性はいつだってある。上述の事例は、様々な事件・事故の被害にあった人やその家族を支援する民間団体「公益社団法人沖縄被害者支援ゆいセンター」に寄せられた相談の一例だ。ゆいセンターでは被害者からの電話や面接での相談にプロの相談員が対応し、心のケアや裁判への付き添いなど、さまざまな支援活動を行っている。
相談件数は年々増加
2004年に設立されたゆいセンターは、被害者の悩みや精神的な苦しみの緩和軽減、社会復帰への援助が大きな目的としている。直接的な支援では、専門的な研修を受けたプロの相談員が電話・面接で対応し、必要に応じて医師や弁護士に接続したり、病院や裁判所、警察署、検察庁などの関係機関への付き添いなども行っている。被害にあった本人やその家族は、事件・事故によるショックで日常生活に支障をきたすことや、被害の状況を説明することで精神的負担がかかることも多々ある。そのため、2007年には沖縄県公安委員会から「犯罪被害者等早期援助団体」の指定を受け、県警と連携して対応に臨んでいる。
相談件数はここ数年増加傾向にあり、延べ件数が2018年は622件、19年は797件、2020年(9月現在)813件となっている。内訳では、各年で最も多いのが「性被害」だ。18年は134件、19年は219件、20年(9月現在)が271件となっており、ここ2年足らずで倍増。事務局長の池原泰子さんは「社会的な変化や、『Metoo』などの動きもあって、性被害に関しての相談は特に増えていると実感している」と話す。一方で、性被害は立件が困難なため、事件化されないことも多々ある。「全般的に相談は増えていても、まだまだ泣き寝入りしている人は多くいるのが現状だと思う。性被害については特にその傾向が強い」