支援を1人でも多くの被害者に(1) 「沖縄被害者支援ゆいセンター」の活動

 

 「結婚1年頃から夫からの暴力を受けています」「夫がバイクを運転中、急にUターンした車と衝突して死亡しました」「自宅で就寝中に、侵入してきた男に乱暴されました」

 日々のニュースで見かける事件や事故には、必ず被害者が存在する。報道で目にする限りでは、全くの他人事として受け止めるか、気にせず流してしまうのが普通だが、実際には自分自身が被害者になる可能性はいつだってある。上述の事例は、様々な事件・事故の被害にあった人やその家族を支援する民間団体「公益社団法人沖縄被害者支援ゆいセンター」に寄せられた相談の一例だ。ゆいセンターでは被害者からの電話や面接での相談にプロの相談員が対応し、心のケアや裁判への付き添いなど、さまざまな支援活動を行っている。

ゆいセンターの職員ら

相談件数は年々増加

 2004年に設立されたゆいセンターは、被害者の悩みや精神的な苦しみの緩和軽減、社会復帰への援助が大きな目的としている。直接的な支援では、専門的な研修を受けたプロの相談員が電話・面接で対応し、必要に応じて医師や弁護士に接続したり、病院や裁判所、警察署、検察庁などの関係機関への付き添いなども行っている。被害にあった本人やその家族は、事件・事故によるショックで日常生活に支障をきたすことや、被害の状況を説明することで精神的負担がかかることも多々ある。そのため、2007年には沖縄県公安委員会から「犯罪被害者等早期援助団体」の指定を受け、県警と連携して対応に臨んでいる。

 相談件数はここ数年増加傾向にあり、延べ件数が2018年は622件、19年は797件、2020年(9月現在)813件となっている。内訳では、各年で最も多いのが「性被害」だ。18年は134件、19年は219件、20年(9月現在)が271件となっており、ここ2年足らずで倍増。事務局長の池原泰子さんは「社会的な変化や、『Metoo』などの動きもあって、性被害に関しての相談は特に増えていると実感している」と話す。一方で、性被害は立件が困難なため、事件化されないことも多々ある。「全般的に相談は増えていても、まだまだ泣き寝入りしている人は多くいるのが現状だと思う。性被害については特にその傾向が強い」

Print Friendly, PDF & Email
次ページ:

1

2 3

関連記事

おすすめ記事

  1.  サッカーJ3のFC琉球が、第2次金鍾成(キン・ジョンソン)監督体制下の初陣を白星で飾った…
  2. 今季から琉球ゴールデンキングスに加入したアレックス・カーク(左から2人目)やヴィック・ローら=16…
  3.  FC琉球の監督が、また代わった。  サッカーJ3で20チーム中18位に沈む琉球は1…
  4. 戦前に首里城正殿前に設置されていたバスケットボールゴールを再現した首里高校の生徒ら=8月27日、那…
  5.  8月12日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール市民交流室は熱気が渦巻いていた。ステー…
宮古毎日新聞

特集記事

  1. 再びFC琉球の指揮を執ることになり、トレーニング中に選手たちに指示を送る金鍾成監督=19日、東風平…
  2. ヴィック・ロー(中央)の入団会見で記念撮影に応じる琉球ゴールデンキングスの(左から)安永淳一GM、…
  3. 沖縄県庁  沖縄県は、地域の緊張を和らげようと、4月から「地域外交室」を設置し、照屋義実副知…
ページ上部へ戻る ページ下部へ移動 ホームへ戻る 前の記事へ 次の記事へ