支援を1人でも多くの被害者に(1) 「沖縄被害者支援ゆいセンター」の活動
- 2020/10/24
- 社会
池原さんは「一生懸命取り組んでいるが、まだまだ知っている人が少ないと思う」ともどかしさも抱え続けている。「極論を言えば、被害者からの相談が1件もない平和な世の中になればそれに越したことはない。でも現実は違う。まずは多くの人に知ってもらうことが1人でも多くの被害者を援助することにつながる」
人員不足が大きな課題
被害者支援活動を続けるために組織運営をしていく中で、向き合わなければいけない課題も多い。人員問題がある。現在ゆいセンターには40人程度の人員が在籍しているが、ほとんどが本業を持ったボランティアで、常時相談対応できるのは1日5~6人。この人数で県内ほぼ全ての事案に対応している。現在の相談受付時間は平日午前10時~午後4時。池原さんは「本当は仕事終了後の夕方や、1人で不安になってしまう夜の時間帯まで受け付けたいが、人員と予算の不足で実現できていない」と説明する。
相談員には分からない部分を被害者同士の体験を共有することで支え合い、精神的なケアを行う「自助グループ」の活動の場を設けられていないことも懸案だという。「被害者の自助グループについて県への問合せも少なからずあり、ここ数年できちんと形にしていかなければならない」という。さらに、離島地域での支援活動も長年の課題の1つ。離島地域に常駐できるスキルの相談員を育成するため、19年から宮古と八重山で本島からの相談員派遣も含めた支援事業の実施が始まったところだ。
ゆいセンターの被害者支援活動は全て無料だが、経費は賛助会員費や寄附金に拠っているため、財政面での支援を随時募っている。問い合わせは事務局(098-951-2408)まで。
<公益社団法人 沖縄被害者支援ゆいセンター>
・電話(無料の相談窓口):098-866-7830
・住所:那覇市旭町116-37 沖縄県南部合同庁舎5F