玉城知事、那覇軍港の前倒し返還求める 定例会見詳報
- 2020/10/23
- 政治
玉城デニー知事は23日、県庁で定例会見を開催し、昨年10月に火災で焼失した首里城について、再建以降も県の管理を継続したいとの意向を示したほか、那覇軍港を浦添移設に先行して返還することが県振興に寄与すると改めて語った。また、県議会議員で新型コロナウイルスの感染が確認されたことを受け、感染防止対策の徹底を県民に呼び掛けた。
首里城の再建後も県管理で
国は、首里城の再建に向け、今年3月に正殿等の復元に向けた行程表を策定。2026年の正殿復元を目指している。また、県や那覇市等に寄せられた寄付金は総額で48億円を超える見込みという。
玉城知事は、寄付金の活用について「首里城正殿の主要な木材の調達に充てるということで国と協議を整えたところ。今後は、首里城のシンボルとなる赤瓦の制作・調達や大龍柱等の石彫刻等の復元に活用していくと考えている」と語った。
首里城が焼失した火災の責任については、「県は、施設の管理者として責任があると重く受け止めている。このような事故が二度と起こらないように、国や美ら島財団と連携しながら、再発防止にしっかり取り組んでいきたい」と強調。その上で、首里城の管理について、県が引き続き管理していくよう国に申し入れる意向を示した。
また、那覇軍港を浦添移設に先行して返還するよう国に要請したことに関して、玉城知事は同軍港の返還時期が米側の発表で2028年以降になっていると指摘し、「時間がかかる浦添の施設ができてから返還するのではなく、県や那覇市の振興にも大きく寄与できる前倒し返還計画を進めて、跡地利用に取り組ませてほしいと申し上げた」と語った。
記者団からの「遊休化している那覇軍港を浦添に移す必要があるのか」との質問には、「必要があるかどうかは、米側、日本政府が県としっかり対話する場を設けて真摯に議論していただきたい。SACO合意で決められたことについての進ちょくや、新たな観点からの協議が必要ではないかということを含めて、県を交えて対話協議の場を作る必要があると重ねて要請している」などと応じた。
菅政権との対話の機会を設けていきたい
このほか、発足後約1カ月となる菅政権について、「辺野古を巡り対話できそうな相手なのかどうか、政権に対する所感を」との質問も出た。22日に県庁で行われた岸信夫防衛相と知事との会談では辺野古移設をめぐる議論は平行線をたどっているが、玉城知事は質問に対し、「政権がスタートしたばかりなので、意見交換しながら、今後対話の機会を設けていきたいという県の希望や、沖縄が抱える現状と課題について真摯に向き合っていただき、課題解決に協力をお願いしたい」と述べた。
ただ、「できれば、(政府も)もう少し踏み込んで『このことについては米国側と協議をしましょう』など、それぞれの課題解決のためには、新たな対話の場を作っていただきたいという私どもの要請を踏まえて取り組みを進めてほしい。始まったばかりなので、しっかり対話を重ね、県も努力すべきこと、国が米側と協議して取り組むことなど真摯に協議をし、求めていきたい」とも語った。
県議会議員で新型コロナウイルスの感染者が判明したことに関しては「会合や会食に参加する時は、できるだけ密を避けることや、自身の健康観察をしっかり行ってほしい。少しでも体調に不安がある場合は、出掛けずに家庭で静養し、熱やせきなどの症状があるときは、早目に医療機関に相談することを心掛けてほしい」と強調した。
(記事・写真提供 宮古毎日新聞)