支援を1人でも多くの被害者に(2) 「ゆいセンター」理事長に聞く
- 2020/10/25
- 社会
沖縄県内で起こった事件や事故の被害にあった人やその家族を支援する民間団体「公益社団法人沖縄被害者支援ゆいセンター」では今年6月、理事長に奥平登美子さんが就任した。奥平さんは元沖縄県看護協会の会長も勤めており、これまでに看護職として臨床看護や看護基礎教育、人材育成にも携わってきた。看護と被害者支援とは、分野は違えど「病気や被害のダメージから、1日でも早く回復させるための努力をしなければならないということは共通している」と強調する。奥平さんに被害者支援や事業運営の課題について聞いた。
財政基盤強化が急務
―6月に理事長に就任して、これまでに感じたことは。
「就任してまだ日も浅く、新型コロナウイルスであたふたしている状況。まだ全てを把握しているわけではないが、被害者を支援するための団体がこのような形で運営されているということを私自身きちんと十分に知らなかったのが現状だ。被害者や警察など関係者だけが知っているような状態。
もちろん、事件や事故が起こらず被害者がいない平和な社会が望ましいが、そうもいかず、何の落ち度もないままに事件・事故に遭遇したら、どうするのかということになる。その受け皿としてのセンターは社会的にとても大きな役割を担っていると思う。相談員の皆さんの話を聞き様々な実例も知ると、弱い立場の人たちが理不尽な状況にさらされながら、大変な苦労や辛さを抱えているということをあらためて感じた」
―事業運営の大きな課題として「財政基盤の充実強化」を挙げている。
「社会的な役割の大きさに比して、財政面で組織運営が非常に苦しい現状に驚いた。予算・助成が日本財団や県警から出てはいるが、全体からみると不十分と言わざるを得ないと思う。賛助会員の皆さんや様々な団体からの寄付もいただいているが、会員もたくさんの人がいるわけではない。基本的に無料で行っている活動内容に照らし合わせると自助努力だけでは限界があり、予算的にはとても足りない状態。公的資金のバックアップが必要だと感じている。
運営資金がなければ肝心な相談員の確保・育成も十分にできず、支援の手が必要な被害者の下に届かないことになる。被害者の立場にも当然配慮しながらも、センターとしての実績を広報しつつ、安定的な予算を確保するための努力をしていかなければならない」