支援を1人でも多くの被害者に(2) 「ゆいセンター」理事長に聞く

 

市町村との連携不可欠

 ―相談員などの人的体制の整備も解決すべき課題として挙がっている。

 「所属している全体の人数からみると、ボランティアで協力してもらっている人がほとんど。自分たちで相談員としての力やスキルを身につけていく努力もしながら、きちんとした形で支援に尽力できる体制を築かなければ、被害者への対応にも影響が出てしまう。相談員の皆さんに話を聞くと、事案の1件1件への対応には大変な時間とエネルギーがかかることが分かる。数年にまたがることもしばしばあるので、忍耐力も必要になってくる。そのため、相談員が体力的にも精神的にも潰れてしまわないようなシステムを構築することが求められている。
 また、相談員の高齢化も進んでおり、今後も事業を継続していくためにも。人材育成にも力を入れていかなければならないと考えている。コロナの状況にも配慮しつつ、養成事業も継続していく」

 ―支援活動に取り組む上での今後の展開は。

 「市町村単位で被害者支援の取り組みについて知ってもらえたら、被害者の問題解決の早期化につながる可能性がある。本年度から県内41市町村役場の相談員などを対象に被害者支援に関する出前講座と巡回相談、弁護士による法律相談を開設しており、今後3年間かけて順次取り組みを進めていく。現状は市町村単位では被害者支援についてあまり周知できていないので、今後連携しながら『見える関係』を作っていくためにも、地道に取り組みについて説明していかなければならない。

今年10月にい糸満市で開かれた出前講座


 県内だと、近隣の人たち同士で顔見知りの“狭い地域性”の中では、自分が被害にあったことを周囲に知られたくない被害者も多々いるし、それが1人で悩みを抱え込んでしまう大きな問題にもなっている。しかし一方で、地域の中の近い場所に被害者が安心できる環境で相談できる人がいて、早めにゆいセンターの被害者支援につながることができれば、精神科医や弁護士へ接続するネットワークが整っているので、早期回復も見込める」

 「どんな風に被害者を回復し、立ち直ってもらうかということは支援側で常に考えなければならないし、その努力も怠ることなく続けたい。
 支援で対応する事件や事故などの事案の話は個別具体的でデリケートな部分が大きく、なかなか表立って話せないことも多いが、活動の周知もしながら周囲の理解を得て、きちんと実績を積み重ねていきたい」

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