首里城復興へ「令和の木曳式」始まる 11月3日着工に向けて木材搬送
- 2022/10/30
- 社会
2019年10月に発生した火災で正殿など6棟が全焼した首里城の再建に向けて、復元・復興を祈願するイベント『いざ 首里城 令和の木曳式』が10月29日から始まった。「木曳式」は琉球王朝時代に首里城造営・修復に際して行われてきた祭事で、1989年の平成の復元の時にも執り行われた。
29日に国頭村の森林公園で開催された「国頭フェスティバル」では、奥間集落の伝統芸能「国頭サバクイ」が披露され、同村で調達した正殿再建に使用するための材木をお披露目。その後、材木を積載したトレーラーが首里に向かうにあたっての出発式が催された。33年ぶりとなる祭事とあって、会場には多くのメディアや県内外からの見物客が訪れた。
樹齢98年の材木が首里へ出発
29日午前に行われた国頭フェスティバルでは「木曳式宣言」が行われ、祭事の衣装に身を包んだ奥間区の区民たちが擬木を囲んで、やんばるから切り出された木材を運ぶ際に歌われた木こり歌の国頭サバクイを披露した。庶民の団結で労働の喜びを表現した「木遣(きやり)歌」を老若男女が歌いながら、与那覇岳から切り出したカシの木を集落に運び、やんばる船から那覇へと運ぶ様子を演出しているという。
33年前に行われた際に男衆として参加したという奥間区の山川泰志区長は、木曳式の由来や平成の復元に触れた上で、「令和首里城の復興を我が国頭村フェスティバルから始めるにあたって、村民一丸となって心より完成を祈願します」とあいさつした。
運搬される材木は、硬質で丈夫な「オキナワウラジロガシ」で、樹齢98年、長さ約9m、重さは4t。国頭村から調達された3本のうちの1本がパレードのためにトレーラーに積載された。平成の復元の際には、県産の材木は使用されていなかったという。今回の木材は国頭村の村有林から無償提供された。
道の駅ゆいゆいで実施された出発式であいさつした国頭村の知花靖村長は「首里城のために無事運ばれ、復元に活用されることが我々村民の願いです」と述べた。
着工に向けて関連イベント続々
材木を積載したトレーラーは南下しながら各地で歓迎セレモニーを受け、材木の展示などを行う「木曳パレード」を実施する。10月30日には中継地点の那覇市国際通りでのお披露目に合わせて、伝統芸能演舞を中心とした「那覇フェスティバル」が行われ、ここでは同日開催の「世界ウチナーンチュ大会」前夜祭パレードとタイアップする予定だ。
そして11月3日には那覇市首里綾門大道(中山門跡~守礼門)で、琉球王朝時代の木こりを再現し、役割ごとの衣装を着た参加者が材木を伴って行列行進する「木遣行列(きやりぎょうれつ)」が実施される。合わせて、10月29日から首里城公園とその周辺では首里城復興祭が開催されており、「古式行列」や特別見学ツアーなども並行して行われている。
主なイベントは復興イベント特設サイトでオンラインライブ配信されている。
■関連リンク
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