岸田首相が沖縄視察 首里城正殿復元11月3日起工式

 
平和の礎を視察する岸田文雄首相(中央)と西銘恒三郎沖縄担当相(左)=14日、糸満市摩文仁の平和祈念公園

 復帰50年の記念式典に出席するため2日間の日程で来沖した岸田文雄首相は14日、糸満市摩文仁の平和祈念公園と、2年前に主要な建物が消失し、復元に向けた準備が進む首里城公園を視察した。岸田首相は視察後の会見で、11月に正殿の本体工事に着工する方針を示した上で、起工式を1989年に始めた前回の復元時と同じ11月3日に挙行することを明らかにした。

 就任後初めて沖縄を訪問した岸田首相は、平和祈念公園の国立沖縄戦没者墓苑と島守の塔を参拝、献花して戦没者を慰霊した。全学徒隊の碑や、犠牲者の名前が刻まれた平和の礎も訪れ、恒久平和を誓った。

 首里城視察後には、復元に関わる事業者と、伝統工芸や観光振興に携わる関係者らとの車座対話にも参加。岸田首相は、復元の場を技術や伝統を承継する大切な機会にすることや、人材育成の貴重な機会として生かすことも大事だとの考えを示した。

 伝統工芸品の販売を手掛ける出席者からは「生産者がどんなに良いものを作っても、儲からない仕組みがある。作り手にお金が入る仕組みが必要だ」との意見が出た。

首里城復元に携わる事業者らと車座対話する岸田文雄首相(左から3人目)=14日、首里城公園

 視察後の会見で、沖縄戦への思いについて問われた岸田首相は「沖縄は先の大戦において、悲惨な地上戦の舞台となり、県民の皆様方は筆舌に尽くしがたい大変な苦難を経験された」と語った。

 その上で、沖縄の平和に向けた取り組みについて、「沖縄が発展することがアジア・太平洋地域の発展や、そして何よりも平和に寄与する」と強調した。

 また、県民が基地の無い沖縄を求めていることについては「すぐに答えが出るものではない厳しい現実もあるが、県民の声を受け止めながら最善の努力を続けていく」と述べた。

(記事・写真 宮古毎日新聞)

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