OCVB「ミス沖縄」の選出を休止 社会変化に「従前のスタイル脱却の必要性」

 
昨年2月に行われた第40代ミス沖縄選出大会の様子

 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)は2月17日、県内外・海外に向けて沖縄観光をPRする役割を担ってきた「ミス沖縄」の選出事業を中止することを発表した。事業を開始した40年前から現在にいたる中で、ジェンダーやダイバーシティ(多様性)といった観点も含めた社会環境の変化を受けて検討を重ねた結果、「ミス沖縄が担う役割も従前のスタイルから脱却する必要性や、観光情報発信の手法等について再考する時期にきた」として、休止する判断に至ったという。

1981年から120人が就任

 ミス沖縄の正式名称は「沖縄観光親善大使ミス沖縄」。国内外で開かれる観光に関連するイベントや事業などで、主に沖縄観光や物産のPR・イメージアップのための活動を展開しており、派遣日数は年間平均で延べ450日という。スカイブルー、コバルトブルー、クリーングリーングレイシャスの女性3人を毎年選出している。2022年に選ばれた3人は第40代にあたり、これまでの累計は120人となっている。

 ちなみに第1回目の選出大会が開かれたのは1981年で、その際に選ばれた初代ミス沖縄の中には沖縄出身のファッションモデルで女優としても活躍している山田優さんの母親が名を連ねている。

 コロナ禍で観光に大きな影響が出てからは、例年よりも活動が制限されたこともあって異例の2年間の任期を務めた第39代ミス沖縄の3人がYouTubeの動画配信で沖縄の魅力を毎日更新して発信し、沖縄をPRする新しい手法や形も模索していた。

 現在の第40代ミス沖縄の任期は3月末までとなっており、それまでは従来どおりの活動に従事する。

台北からの国際便就航で航空会社の代表に花束を手渡すミス沖縄(2022年10月)

ミスコンの廃止や見直しの動きが加速

 一方で、近年ジェンダーや多様性の議論が頻繁に行われるようになり、こうしたミスコンテスト(ミスコン)の存在意義・開催意義についての問い直しや見直しは必須になった。事実、全国各地の団体や大学などで、ミスコンの廃止やエントリーする人たちの性別を不問にするなど、従来のあり方を変える様々な動きが広まっており、2020年代に入ってからその傾向はより加速している。

 昨年開催された第40代ミス沖縄選出大会を取材した際、出場者を審査する審査員10人のうち8人が男性で、女性が2人という比率を目にして大きな違和感を覚えた。せめて審査員の半数以上を女性にするといった措置を講じることができれば、大会の雰囲気も変わっていたかもしれないし、ミス沖縄のあり方の新たな方向性を模索することにもつながったかもしれない。

 前提として、ミス沖縄を目指して大会に出場する女性たちを決して否定するわけではなく、これまで沖縄観光をPRしてきた歴代のミス沖縄にも最大限の敬意を表するが、とはいえやはり上述したような状況は現在沖縄県が掲げている「SDGs」や「多様性」とは真逆のものだったと言わざるを得ない。

「新たな形での事業展開を検討」

 OCVB関係者によると、ミス沖縄選出基準の見直しや休止についての声は数年前から内部でも出ていたという。
 休止について発表した文章でOCVBは「新たな形での事業展開を検討し、再開のめどがたった暁には、引き続きご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます」としている。

■関連リンク
『沖縄観光親善大使ミス沖縄選出事業』休止に関するお知らせ(OCVBサイト)
新しい沖縄観光の顔「ミス沖縄」に3人選出 4月から活動開始 ∥ HUB沖縄
「目指すは登録者数1万人」ミス沖縄がYouTubeで毎日配信中 ∥ HUB沖縄

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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