「平和への願い」強く 疎開船、対馬丸の慰霊祭
- 2023/8/22
- 社会
太平洋戦争中の1944年、多くの疎開学童らを乗せて航行中に米潜水艦の魚雷で沈没し、1484人(2023年8月時点)が犠牲となった対馬丸の慰霊祭が22日、那覇市にある「小桜の塔」で行われた。慰霊祭は、コロナ禍の影響で縮小して行われていたが、4年ぶりに一般参列者の制限を設けない通常開催となり、多くの市民らが参加して平和を改めて強く願った。
対馬丸は、学童と一般の疎開者1661人を含む1788人が乗船し、44年8月21日に那覇から長崎に向けて出港。同22日午後10時過ぎ、鹿児島県トカラ列島悪石島の近海で、潜水艦による攻撃を受けて沈没した。戦争の悲劇は、「10・10空襲」、翌年の沖縄戦と続いた。
慰霊祭では、犠牲者を悼み出席者の全員で黙祷したほか、つしま丸児童合唱団が思いを込めて歌い、平和を誓った。
追悼の言葉で、対馬丸記念会の髙政勝理事長は、「撃沈から79年が経ち、遺族生存者も年々高齢化している。一方、今もウクライナのみならず、世界のいたる所で戦争が勃発し、一般人を含め子どもたちに、大きな被害が出ている」と述べた。
また、髙良理事長は沖縄周辺の緊迫した状況が毎日のように報道されていると指摘し、「『歴史は繰り返す』といわれるが、戦争の歴史だけは、決して繰り返してはいけない」と強調した。
県遺族連合会の我部政寿会長は、弔辞で「真夜中の海に放り出された乗船者は、目の前に浮かぶあらゆる物にすがりつき、生き延びようとしたが、多くの人々が力尽きた。無念だったことでしょう。二度と、対馬丸のような悲劇を起こしてはならない」と力を込めた。
(記事・写真 宮古毎日新聞)