有馬記念のOP曲を手掛けたのは沖縄出身の音楽家・稲福高廣さん

 
稲福高廣さん(本人提供)

 昨年末の競馬・有馬記念のオープニング曲「Raise up」をアレンジしたのは那覇市出身で東京で活動する音楽家・稲福高廣さん(30)だ。その他にもなにわ男子や京本大我(SixTONES)などの楽曲提供や編曲、ゲームや映画音楽の制作など多くの実績がある。昨年1月より音楽制作事務所「福プロダクション」を立ち上げ、作曲家やアーティストの育成にも精力的に取り組んでいる。

きっかけは『千と千尋の神隠し』

 10人のクリエイターからなる福プロダクション。設立年である2022年だけでも、映画の劇伴音楽やミュージカルやライブの音楽制作など、約30件ものプロジェクトに携わった。稲福さん個人としてはプロダクション設立前に約8年のキャリアがあり、音楽家としての実績を重ねてきた。

 有馬記念のオープニング曲「Raise up」はオーケストラ曲で、疾走している馬たちをイメージしたテンポ感や、足音を連想するスネアのリズム、4部に分けた楽曲構成でドラマチックなレース展開を表現している。「とりあえずテンションが上がるようにしたかった」と、軸に据えたテーマはシンプルだ。

 今はプロとしてオーケストラ曲を含むさまざまな楽曲を生み出す稲福さんだが、実はオーケストラの演奏を初めて聴いたのは、自身が進学した東京音楽大学の入学式、19歳の時だった。「めちゃくちゃ感動したというか感銘を受けたというか。『僕はこれなんだな』と思いました」と電撃的な体験を振り返る。

 自身が音楽に触れ始めたのは小学4年生の時。映画『千と千尋の神隠し』に心を揺さぶられてピアノを始めた。それ以来「とにかく音楽がやりたい」という気持ちを大切に持ち続けていた。

もともとのプロデューサー気質

「僕にできることが音楽だったんですよね。役者もできないし画家にもスポーツ選手にもなれないですし。もちろん音楽がやりたいことなんですけど」。稲福さんがそう話すのは、自身が音楽というくくりにこだわらずに、とにかく「何かをクリエイトしたい」という気持ちに、首里高校在学中に気づいていたからだ。

 学校行事でもクラスを率先して巻き込んで盛り上げていくタイプだった。「自分1人なら成功できないけど、野球部とかバスケ部とかの人気がある子や、ダンス部のかわいくて目立つ子とかと一緒に行動すると注目が集まるだとか、そういうことは常々考えていました」と、プロデューサーとしての片りんを垣間見せていた。本人は「自分の力でもないのに。要は詐欺師ですよね(笑)」と笑い飛ばすが「やっぱりプロデュースが好きだったのかもしれないですね」と冷静に過去の自分を振り返ってみる。

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