「被災地の力になれた」海保職員トルコでの救助活動報告
- 2023/2/18
- 国際
トルコ南部を震源とするトルコ・シリア地震を受け、日本の国際緊急援助隊救助チームに第11管区海上保安本部(一條正浩本部長)から派遣された職員2人が17日、那覇市内で10日間にわたる救助活動や現地の状況について報告した。2人は「数名のご遺体を救助できたことは、被災地の力になれたと思う。この経験を機動救難士に伝承し、後輩育成にも力を入れていきたい」と力を込めた。
第11管区から救助チームに派遣されたのは、那覇航空基地所属機動救難士の平澤大輔さん(35)と石垣航空基地所属機動救難士の仲村渠飛(たか)さん(35)の2人。
6日にトルコ政府からの要請を受け、日本政府は国際緊急援助隊・救助チームの派遣を決定。同チームは海上保安庁や警察庁、消防庁などの関係機関の職員ら計73人で構成され、現地の救助部隊と連携して生存者の救出につなげたほか、6人の遺体を収容し、親族の元に帰すことができたという。
海上保安庁からは全国の機動救難士や特殊救難隊など救難スペシャリストら計14人をトルコ南部のカフラマンマラシュに派遣し、行方不明者の捜索などの救助活動にあたった。
帰朝報告後の会見で、平澤さんは現地の状況について「ほぼすべてと言っていいほどの建物が崩落している状態で、被害は甚大だった」と振り返った。さらに、コンクリートの構造が違い、すぐに粉々になるような状況だったといい、「倒壊した家屋がさらに倒壊する可能性もあった」と過酷な状況を説明した。
仲村渠さんは救助活動について「パンケーキのように家屋が潰れた状態で、がれきを一つ一つ除去しながらの活動で、救助に時間がかかった」と振り返った。その上で、「通常の現場とは違った難しさがたくさんあったが、自分が持っている力を十分に発揮できたのではないかと思っている」と胸を張った。
二人はすれ違う被災者から、現地の風習という胸に手を当てて行うあいさつを受けたことや、日本語で「ありがとう」などと感謝の言葉をかけられたことも明かした。
また、今回の経験を踏まえて「被災地の方々に寄り添った救助活動をすることが大事だということを後輩に伝えていきたい」と声を合わせた。
第11管区の一條正浩本部長は「元気な姿で帰ってきてくれたことを大変うれしく思う。厳しい環境の中、他機関と連携して、チームワークで救助活動を行い、立派に任務を果たした」とねぎらった。
地震は日本時間の2月6日午前10時17分に、トルコ共和国の南東部カフラマンマラシュ県付近を震源とする地震が発生。シリアと合わせた死者は4万人を超える。
(記事・写真(1枚目)宮古毎日新聞)