中国系企業が土地取得の沖縄の無人島 7年半前の上陸記

 
屋那覇島 2015年著者撮影

 34歳の中国人女性が「私が買った」とSNSにアップしてから、突如メディアに登場した沖縄県の無人島「屋那覇島」(詳しくは<沖縄の無人島・屋那覇島、中国系企業が土地取得で渦中に リゾート計画も>を参照)。記者は7年半前、この島に上陸し数時間滞在したことがある。その時の経験を明らかにしたい。

漁船をチャーターして

 記者が屋那覇島に上陸したのは2015年12月中旬。当時、同島を所有していた会社の役員を務める奥茂治氏が、島おこしを考えている人に島を見てほしいという思いから島を案内してくれることになり、東京でイベント運営会社を営む友人とともに伊是名漁港で漁船をチャーターし乗船した。

 同島は伊是名島の南西約1.3キロの沖合に浮かぶ無人島だ。水深は浅いものの、この日は風が強く到着まで波しぶきを浴び続けた。三角波が発生することもあるから過去に海難事故も起きている。

 沖縄本島の本部半島の先端の備瀬崎と同島の間は、江戸時代、「江戸上り」のため薩摩に渡航する航路の要衝にあり、難所であったことが「上り口説」に詠われている。

「伊平屋渡り立つ波押しそひて 道の島々見渡せば 七島灘中も灘やすく(伊平屋沖に立つ荒波を乗り切って奄美の島々を見渡せば、難所といわれる七島灘もたやすく航海できる)」

護岸に打ち付けられた梯子を登って上陸

 乗船して約10分で接岸ポイントに着いた。屋那覇島は北から南、南から東へ延びるL字形で、北と東の先端は縁取り飾りのように延びる。ブーツにも似ている。接岸ポイントは北東端にある。漁船が横付けされると、コンクリート護岸に打ち付けられた鉄筋の梯子段をよじ登り上陸した。

屋那覇島の護岸 2015年著者撮影

 典型的な隆起珊瑚礁で形成された屋那覇島は、島の周りを環礁(リーフ)が囲み、内側は礁湖(ラグーン)が広がる遠浅になっている。北東から南東の「屋那覇の浜」は緩やかな湾を形成している。

 砂浜には簡体字の中国語やハングル文字のラベルのペットボトル、大小の浮き球、漁網などが打ち上げられていた。沖縄近海で違法操業をしていた外国船籍の操業船が、拿捕を免れるために海上で放棄したものが漂着したようだ。

「もっとヤバいのが流れ着いてきたこともありますよ」。案内した村人がこちらの反応を楽しむように言った。なんでも、反社会組織が薬物を目印の浮きにくくり付け、重りを沈めていたところ、時化でロープが切れて薬物は屋那覇の浜に流れ着いたそうだ。

「どのように上陸したか知らないが、数人が血眼になって捜していましたよ」(村人)

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