中国系企業が無人島の土地取得 真相を知る人物が全て明かす 独占インタビュー
- 2023/2/26
- 社会
中国人の女性が沖縄県の無人島を買ったとSNSにアップロードしてからにわかにその名を知られるようになった島尻郡伊是名村に所属する屋那覇島(詳しくは〈沖縄の無人島・屋那覇島、中国系企業が土地取得で渦中に リゾート計画も〉〈中国系企業が土地取得の沖縄の無人島 7年半前の上陸記〉参照)。
大方のメディアと世論の関心は、外国人に日本の国土を売ることの是非に向いているが、記者は当初から筋違いだと感じていた。本件は安全保障問題ではなく国をまたいだ大型詐欺事件ではないかと。人呼んで「詐欺師がうごめく島」を巡るマネーゲームの顛末を詳報する。島の売り主である会社の役員で、その実態をよく知る奥茂治氏に話を聞いた。
ヤラセか金を集める宣伝かと思った
――くだんの動画がアップされた直後に電話を頂いたのですが、記者もその時は映像合成のフェイクニュースと高を括っていました。事実だと分かった時の心境はどうでしたか。
「びっくりもいいところです。当初はヤラセかファンドで金を集める宣伝かと。そもそも私は売り主となった『株式会社屋那覇』(以下『屋那覇』)の役員をしていました。その私が知らなかったんですから」
――知らないところで売られていたと?
「横浜在住で一般財団法人の役員の名刺を持つH氏が中国系コンサルタント会社の『義昌商事』に仲介したところまでは知っていましたが、その後の詳細は知らされていません。『屋那覇』は取締役が4人いて大株主のM氏が会社定款に違反して、私の知らぬ間に本社を東京に移転していました。そして2020年12月24日に東京都港区に本社を置く義昌商事と3億5200万円で契約を交わしています」
――報道されているエビ養殖場との関連は?
「『屋那覇』の前身『企業組合屋那覇水産』(以下『水産』)に遡ります。『水産』の役員だったM氏は、04年頃から地域活性化のために同島にクルマエビ養殖場計画を造ろうとぶち上げ、伊是名村長も開発協定に同意して投資を募りました。しかし5年後に県から解散命令が出されます。事業実体が見えないことと、出資金が事業以外で使われていたからです。3億5200万円の負債と不動産を『水産』から引き継いで12年5月に設立したのが『屋那覇』なんです。買い主を探して少しでも債権者に返済しようと、私はSNSなどで発信しました」
相次ぐトラブル
――引き継いだ後に一悶着あったそうですね。
「はい。『水産』の代表清算人となったM氏は、『真正なる登記名義回復手続きを取る手段を講じないといけない』と陳述書で述べて、『水産』から『屋那覇』への移転登記は無効であることを主張したのです。そしてなんと、『屋那覇』代表取締役のO氏を相手取り18年5月に裁判を起こします。自身が取締役でもある会社を訴えた。なぜそうしたのか。後で分かったのは、後で触れるソネバとの契約を秘密裏に進めていて、売却益を独占しようとしたのではないか。そうとしか思えないんです」