中国系企業が無人島の土地取得 真相を知る人物が全て明かす 独占インタビュー

 

――M氏の陳述書によれば、(他の役員に渡した)『水産』の実印、角印、印鑑カードが会社設立以外の目的で使用されたので契約は無効だと。

「裁判で私が『水産』の解散議事録と不動産売買契約書を証拠として提出すると、M氏の代理人弁護士は陳述書の虚偽を認め、訴訟の取り下げに同意しました。そこで終わらないのが奇妙なところで、M氏はなんと代理人弁護士に先回りして、訴訟と仮処分申請を自分で取り下げたのです。分かりにくいかもしれませんが、不動産の仮処分申請には相応の担保金が必要であり、本件は裁判所に460万円が供託されていました。自分で取り下げれば自分で供託金を使えるので、自分で還付手続きを行ったと推察できます。実際、裁判所から届いた取り下げ書には代理人弁護士の署名はありませんでした」

シンガポールの大手リゾート会社に売却話も

――よくやりますねー。いやいや感心している場合じゃないですね。最初に戻りますが、なぜ中国系コンサル会社の義昌商事に?

「『屋那覇』を義昌商事に仲介した前出のH氏は、なんと同社の取締役に収まっていたんです(20年10月~22年2月)。だから最初からつながっていたんです。実は売却前にもっと生々しいやり取りがありました。モルディブとタイで高級リゾートを展開するシンガポールのソネバ(ソヌ・シヴダサニCEO)に島の土地を売却する話が浮上したのです。その額は20億円」

――20億円!

「一時仲たがいしていたM氏とO氏は、お互いの利益のために元の鞘に収まり商談を進めます。大手弁護士事務所が仲介し供託金としてソネバが2億5000万円を5回に分けて振り込み、その中で未買収地などをできるだけ多く確保する。それが履行されたら残額を支払う契約でした。まず、5000万円が入金され、M氏はそのうち1200万円で未買収地18筆を買い、さらに高級車購入と伊是名にある旅館を買収するのに1000万円を使ったのです」

屋那覇島

――禁じ手もいいところですね。

「業務が進展しないのを不審に思ったソネバは、調査員を派遣し実態を知ることになります。私はM氏を背任で告発しますが、そうこうしているうちに横浜の大口債権者は、ソネバともつながりのある前出のH氏とともに競売を打ってきたんです。それに対抗してM氏は『債務不存在で抵当権を抹消せよ』と債権者全員に訴えを出しました。競売は行われず任意売却となって、義昌商事に売却したというのが真相です」

――メディアからの取材が引きも切らずこの後も取材が入っているようですので、最後に聞かせてください。屋那覇代表取締役のM氏、同O氏、仲介した一般財団法人のH氏とは連絡が取れない状態になっているそうですね。3人に言いたいことは?

「これだけ国中を騒がせたのだから、とにかく出てきて説明責任を果たし、迷惑をかけた人たちに謝罪をしてほしいですね」

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友寄 貞丸

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伊江村出身。1990年から主に中国、台湾の取材執筆活動を続ける。2014年11月Uターン。著書に『雲南哀楽紀行』(愛育社)など。国境を越えても一線を越えない旅と取材を信条とする。

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