「沖縄・奄美」世界遺産登録へ
- 2021/5/11
- 社会
国際自然保護連合(IUCN)は10日、「奄美大島、徳之島、沖縄本島北部及び西表島」について、世界自然遺産への登録を「適当」と勧告した。生物多様性について普遍的な価値が認められたもので、7月に開催される第44回世界遺産委員会拡大会合で登録の可否が決定される。
登録が適当と勧告された4地域は、いずれも約1200キロメートルに渡って弧状に点在する琉球列島の一部。ヤンバルクイナやイリオモテヤマネコ、アマミノクロウサギなど絶滅危惧種95種を含む動植物があり、世界的に見ても生物多様性の保全が極めて重要な地域となっている。
世界自然遺産への登録をめぐっては、2018年5月に①沖縄本島北部の米軍訓練場返還地が推薦地に含まれていない②小規模の飛び地が複数含まれている、ことなどを理由に延期勧告が出されていた。
今回は、訓練場返還地を推薦地に含めたほか、可能な限り飛び地をつなげ、やむを得ない場合は推薦地から除いている。
西表島の観光客に上限を
IUCNは、これらの取り組みについて、「努力を賞賛する」とする一方、特に西表島について「観光客の収容能力と影響に関する評価が実施され、観光管理計画に統合されるまでは、観光客の上限を設けるか、減少させるための措置」を求めた。
また、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコ、アマミノクロウサギなど希少種の交通事故死を減少させるための交通管理の取り組みの効果を検証し、必要な場合は強化することなども要請した。
「生物多様性が貴重と認められた」
玉城デニー知事は11日、県庁で会見し、「喜びを実感している。尽力していただいた環境省をはじめとする国の機関、地元の国頭村、東村、大宜味村、竹富町など関係者の皆さまには改めて心からの感謝を申し上げたい」と述べた。
また、「本島北部のやんばる地域と、西表島の生物多様性が国際的にも貴重であることが認められた。この自然環境を保全することが沖縄県の使命であると重く受け止めている」と語った。
(記事・写真 宮古毎日新聞)