小さな島から見えてくる、どの土地にも“地続き”なこと 『水納島再訪』橋本倫史さんインタビュー

 
『水納島再訪』の著者でライターの橋本倫史さん。よく訪れるという「パラソル通り」で

 水納島、と聞いてすぐに場所や情景を思い浮かべることができるだろうか。沖縄県は国頭郡本部町の沖合に浮かぶ、三日月型の小さな島。県内に住む人でも、この島に行ったことがある人はそう多くはないかもしれない。

 2月に刊行された『水納島再訪』(講談社)は、島への再訪を重ねてきたライターの橋本倫史さんが歴史や土地に流れる時間と暮らしに焦点を当てて紡いだ滞在記だ。自身を「余所者(よそもの)」と自制して綴られる文章には、水納島を“沖縄の離島”としての特殊な場所という括りではなく、沖縄本島と離島、そして沖縄県と県外とをいかに「地続きな場所」として捉えられるかという視点が貫かれている。

 沖縄関連の著書として『市場界隈 那覇市第一牧志公設市場界隈の人々』(本の雑誌社)や『ドライブイン探訪』(筑摩書房)も執筆した橋本さんが、水納島をどう見つめたのか話を聞いた。

『水納島再訪』(講談社)

土地に流れる固有の時間に触れる

 ―冒頭「はじめに」でも本を出す経緯に触れてますが、改めて橋本さんが水納島について書くことの動機としてはどんな思いがあったんでしょうか。

「水納島は本部町にある離島ですが、『離島だから』といって、“どこか遠くの世界の話”として受け取られないようにという思いがありました。とっかかりは『綺麗そうな所だね』ということでもいいので、県外の方にも沖縄のことに関心を持つ入り口のような役割を果たすものを書いておきたいと思ったんですよね。

 沖縄に関心を持つときに、そこには美しい自然や伝統的な文化もありますが、小さな島の生活や時間など、これまであまり書かれてこなかったものの中にも、沖縄について考えるきっかけはあると思うんです。

 水納島という小さな島のことを辿っていくと、沖縄全体が抱える問題や、ひいては日本のどんな土地にも共通する地続きの問題も見えてくる。執筆を進めていくうちに、それも大きなテーマの1つになりました」

水納島の桟橋から集落へと続く道(橋本さん撮影・提供)

 ―ジャーナリスティックでもなく、かと言ってルポルタージュとも少し違うような橋本さんの筆致は沖縄を巡る旅行記にはあまり無いタイプの本で、面白いバランスだと思いました。

日常に近い部分で、自分が普段生活している所とは違う時間がどの土地にも流れていて、そういう面に触れることも僕はとても興味深いことだと思っているんです

 だから水納島のこの本を読んで人生が変わるというほどの劇的なことは起こらないとしても、そういった視点を手渡せたらな、というのはあります」

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