五輪下の東京に見るコロナと沖縄 海外メディア同行から

 
五輪開会式当日の新国立競技場周辺の様子。開催反対派のデモを警戒する警官隊の姿も

人間は我慢ができない弱い生き物

 このように、人間はそんなに長いこと我慢ができないものだというのを痛感している。ちょっとの期間ならOKだったであろう。しかし、そろそろコロナが世の中を襲うようになって1年半も経つ。去年の今ごろ、私はこう思っていた。「あと3カ月ぐらいすれば収まるだろう」。しかし実際は、今も感染者の数が過去最高を更新し続けている。

 東京では外で飲む人たちの姿が目立ったが、沖縄では比較的それほどでもないように思う。

 たしかに夜8時以降の飲食店は、東京も沖縄も、一部を除いて閉店する。だけど、東京ほど路上飲みをしている人は見ない。なぜか。それは、宅飲みをしている人が多いからだと思う。人々は1年以上も飲み会を我慢できないから、結局飲む訳なのだけれども、車社会の沖縄は「どこかの駅前」ではなく「誰かの家」に集まって飲む傾向にあるため「飲んでいても東京ほど目立たないだけ」なのだと感じる。

 もちろん、コロナの感染拡大の要因が飲み会だけとは言わないし、そうも思わない。当然職場内感染もあるし家庭内感染もある。

 しかし問題なのは、時に「自粛しなきゃ」よりも「飲んじゃおう」が勝ってしまうほど、酒や飲み会の雰囲気には中毒性があるということだ。職場がリモートになった時に「いや、どうしてもオフィスに行きたい!我慢できない!」となる人はそんなにいないと思う。リモートにして放っておけば、人がオフィスに集まることはあまりない。ただ、飲み会の場合はそれが逆で、放っておけば自動的に人が集まってしまうのだ。

短期決戦を

 だったらなおさら、2年前の今頃のようにみんなでワイワイ楽しむためにも、是非とも今こそ踏ん張りたいと思う。

 飲み会を自粛し、ワクチン接種を受ける。もちろん経済的な視点で考えたら賛否もある。協力金の財源も、コロナが無ければもっと他の行政サービスに使われるはずだっただろう。だからこそ短期決戦で勝負を決める必要がある。「あの時代はコロナがあって大変だったね」ー。命を落とした人も多い中で悲しい過去としては残り続けるが、それでも早く過去の話として苦労を乗り越えた酒の肴にでもなればと願う。

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長濱 良起

投稿者記事一覧

フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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