五輪下の東京に見るコロナと沖縄 海外メディア同行から

 
渋谷区某所のパーティー会場

 取材カメラが上野の様子を捉えようとすると、映り込むことを嫌がる素振りを見せる人々も少なくなかった。インタビューを試みる際には、海外メディアなので日本では放送されないことを告げたものの「どこで誰に見られるか分からない」と断られることも多かった。実際には、海外のテレビで知り合いに見られるより、上野の街で知り合いに見られる可能性の方が高い。それほど人々は、外でのお酒を我慢できなくなっているのだろう。

「バブル」の穴を実感

 この東京オリンピック開催期間中、話題に上ったのが「大会関係者の感染拡大防止」だ。政府は「バブル方式」として選手や関係者の移動先を選手村と試合会場に限定するなどの対策を出したが、結局のところ、期間中の大会関係者の感染者数は436人で、そのうち29人が選手だったとの報道もあった。

東京オリンピック・パラリンピックの選手村

 このバブルが完全に機能していないという感触は私にも実感としてあった。

 今回私が同行した取材クルーは、ワクチン接種やPCR検査などで五重にもわたるプロセスを経て来日していた。日々の唾液抗原検査も欠かさず続け、入国後2週間は公共交通機関を使えずにタクシーを使って移動していたので、1回の料金が2万円以上になることもあった。厳密にはタクシーは公共交通という枠組みなので、その時だけはハイヤーという扱いで取り決めがされており、一回一回の消毒が施されることになっていた。飲食店にも入れないため、食事はいつもコンビニかスーパー、テイクアウトだった。

 ただ問題は、これに準じるほどのレベルで対応する選手や関係者がどれぐらいいるのか、という点に尽きると思う。ワクチン接種は義務ではなく、陰性証明だけを持って入国する人もおり、最終的には「モラル」に頼るしかなくなってくるのではないか、と思うようにもなった。

 しかし、想像してみてほしい。外国で、しかもオリンピックという祭典で、何千何万という関係者が規律を守れるのか、と。絶対にウキウキするに決まっている。バレたら母国で名前ごと報道されるであろう選手ですら、選手村を抜け出して外でビールを買って処分されているのだ。

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