医療崩壊の母国ネパール⇔沖縄のネット登壇 現地市長ら支援訴え

 
発起人のネウパネ・スザンさん

 「医療現場での防護服が行き渡っていない。代わりにビニール袋を被っています」と切実に訴えるのは、新型コロナウイルス感染拡大で医療機器や医薬品の不足が続くネパールに住む医師だ。
 沖縄や同国に住むネパール人らが登壇するオンラインイベント「ネパールの現状を聞こう」での一幕。那覇市内でレストランを経営するネパール出身のネウパネ・スザンさんが発起人となって実現したこのイベントでは、沖縄から母国を支援する具体的なアクションを起こす前段として、本当に求められる支援とは何か、現地からの生の声を伝えた。

 沖縄NGOセンター、多文化ネットワークFuふ!おきなわ、スザンさんの3者が実施した。

医療用酸素が足りず命を落とす人も

 沖縄在住のネパール人は約2800人ともいわれ、沖縄社会にも溶け込みつつある。
 現地の報道によると、ネパールでは毎日200人近くがコロナで死亡しているという。スザンさんは「地元の友人から『医療用酸素が足りなくてお母さんを亡くした』との電話を受けた。沖縄から何か協力できることがあれば」と思いを馳せる。

「親戚からの電話が怖い」

 ネパールではかれこれ約1年間もロックダウンが行われているという。10年ほど前に沖縄に住んでおり、現在は首都カトマンズ在住のヨガ講師、ネパール・アパルナさんは「子どもたちは全然出かけていません。沖縄で生まれた私の息子もそう。勉強も遊びもずっとオンラインです。近所のお店は全部閉まっていて買い物も大変です」と流暢な日本語で話す。かつての日々はがらりと一変したままだ。

 もしかしたら身近な人が亡くなるかもしれないという心配が先立つため「親戚から電話がくると怖い」とも漏らす。「精神的な不安からも体調を壊している人もいると思います。感染したら家族に会うことができず、そのまま亡くなることもあります」

経済的貧しさから病院へ行かない人も

 続いてひっ迫した医療現場の実情を話したのは、デーヴァダハ市の医師、サムラクチャン・ラムサルさん。ネパール経済の不安定さが、感染拡大に追い打ちをかける現状を説明する。「コロナに感染したと分かっても、多額の費用がかかってしまうため病院に行かない人もいます。PCR検査の1回1000~2000円という金額は、ネパールの人にとっては高額です」

 ラムサル医師によると、ネパールでは1000人あたり12人が死亡しており、世界的にもかなり多い水準だという。病床数や医療機器、医薬品が足りず、医療崩壊が起きており、検査状況も不十分で感染者数の正確な把握も難しい状況だ。

「医療機器や医薬品、ワクチンの多くはインドから供給していたが、インドの医療事情が悪化しているので、ネパールまで行き渡らなくなっている」と述べる。

市長「日本のみなさんに支援をお願いします」

 発起人・スザンさんの出身地であるパツカル市のマヘス・カレル市長は、日本にネパールの現状を伝えられることに感謝しつつ「医療機器などはネパール国内での調達が難しい」と話し、医療機器やマスクや手袋などの早急の支援を求めている。

 同市の公用車は今や救急車に姿を変え、少しでも医療に資源を振り分けようと必死だ。市長自身もコロナに感染した。

 「物資を直接送ってもらうか、NPOなどを通して寄付金を送ってもらうかして頂けるとありがたいです」と支援を呼び掛けている。

 支援についての問い合わせは「沖縄ネパールプロジェクト」のFacebookページかメールアドレスnepalproject22@gmail.comまで。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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