緊急事態は解除されたけど… 飲食店「コロナ前には戻れない」

 

 「どんなに客足が戻ったとしても、おそらくこれまでの8割程度の売上しか見込めない」と話すのは、本島中部で居酒屋を経営する男性だ。延長に延長を繰り返した沖縄県の緊急事態宣言が10月1日に解除され、4カ月以上ぶりに“外でお酒が飲めるようになった”ものの、酒の提供は県の感染防止対策認証を受けた場合は午後8時、それ以外は午後7時までという制限付きでの再スタートが切られた。

 「世の中はもう変わってきていて、これまでお店で飲んでいた人が家で飲むようになったり、オンラインで画面越しに飲むようになったりしてます。飲み方が多様化して、どんなに夜の街に人々が戻ったとしても、コロナ前の世界にはもう戻らないと思います」と話し、自身も含めた飲食業者が、店を続けていくことへの迷いや不安を抱えていることを明かす。

改装終えても「開けるに開けられない」

 男性は、新型コロナウイルス感染の第一波が来た去年の4月頃から店を閉めて店舗の改装を開始。調理設備も新調し、客足で再び賑わうはずだと期待も込めて収束を待っていたが、度重なる緊急事態宣言の延長で「開けようにも開けられなくなった」。今回の全面解除を受けても、沖縄県独自の措置で午後8時までの営業に制限があるため、開店を見送った状態だ。改装はすでに完了しているものの、棚もテーブルも真新しいまま、鍵の閉まった店舗内で1年近く出番を待ち続けている。

(写真はイメージ)

  男性が店の改装を始めた理由はもう1つある。「テイクアウトをメインにした店づくり」を視野に入れたからだ。自身もコロナ禍になってからは外食をしなくなった。従来通りの居酒屋やバー、スナックなどといった“夜にお酒を出す店”を続けることが「果たして正解なのかどうか分からない」という。

   飲食店経営のコストが感染対策によって増大することも「だいぶやりづらい」と男性は語る。消毒用のアルコールや飛沫防止のパーテーション設置などにコストがかかり、店側として安全管理を徹底しなければならない。本来気にする必要のなかったことを、一気に考慮しなければならなくなった。

 「1年近くお店を閉め続けて業界から離れている人もいます。そこから再びお店を開けて、客足が戻ってくるのかどうか分からず経営自体への不安がある中で、今までと同じようなモチベーションに戻すのが難しい人も少なくないと思います」

8時以降も漏れ出る店内の光

  実際に、付き合いのあるバー経営者は、客足が遠のく不安を払拭するように、10月2日からお店を開けた。しかし、オープン時刻は8時だ。協力金は受け取らずに敢えて『コロナ前の一般営業』に戻したという。「客足を戻すには時短解除後だと間に合わないと見切りをつけて、早めに助走をつけたのでしょう」

  「今年に入ったあたりから、なぜか突然、お店の窓にカーテンやスクリーンを付けて、外から見えないようにするお店が増えました」と話す男性。時短要請で8時までの営業に協力しているはずの店舗からは、8時を過ぎても光が漏れ出ていた。

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