医療現場は「ずっと疲弊し続けている」 若年層の感染者増加に危機感

 

「特に第4波に入ってからは感染の広がり方が明らかに変わり、若年層が増えた。第3波までは20~40代はあまり重症化しなかった、今は若くても重症化することが多くなっている」

 本島中南部の医療機関に務める30代男性はこう指摘する。感染者数増加の背景には、PCR検査の精度向上や体制が整ったこともあるが、それを加味したとしても確実に増えていると感じるという。この男性は最前線で直接コロナ感染者を担当しているわけではないが、同じ病院内でコロナ対応に奮闘する医師や看護師たちに協力しつつ、医療現場を支えている。

 ゴールデンウィークの連休を経て5月末ごろから、新型コロナウイルスの1日の感染者数が300人を突破して連日最多人数を更新し、現在も100人を超える数字で高止まりしている沖縄県。病床数も毎日ほとんど100%に近い数字が発表されており、医療現場の逼迫した状況が続いている。コロナ禍に突入して1年以上が経過し、ワクチンの接種も始まったにも関わらず感染拡大が止まらない現状を、医療現場に従事する人たちはどのように捉え、感じているのか話を聞いた。

コロナ以外の患者への皺寄せも

 多くの病院がベッド数を増やしているが、新型コロナは即効性のある決定的な治療法がまだ確立していないので、基本的に感染者本人の免疫力獲得と体力の回復を待つしかなく、退院の見通しがたたず病床の空きの目処もつかない。そのため、感染者が増えるとキャパシティを超えて順番待ちになり、いつまでも病床が空くことはない。
 さらに、医師や看護師などのマンパワーも「圧倒的に足りていない」という。「現場はコロナ対応も、それに伴ってコロナ関係以外でもかなり大変な状況。正直言って、感染者が1日100人超えた時点で“てっぺん超え”状態になってて、1波も2波もなくずっと耐え忍んできて疲弊し続けている」

 さらに深刻な問題として、コロナ感染者ではない患者たちが皺寄せを受けていることが挙げられる。コロナでもそれ以外の病気やケガでも、さして緊急性が高くなければ基本的に「後回しにできる人はすぐに後回しにされる」。ベッドが空いてないという理由で手術を1ヶ月先に延期したとしても、1ヶ月先にベッドが空いている保証は無いのが現状だ。

「例えば骨折。通常なら骨折して来院すれば翌日に手術して経過をみて、スムーズにいけばリハビリまで含めて2~3週間で退院できることもある。でもコロナ対応が優先されて後回しが続いた結果、2週間くらい骨折したままで待機していたケースもあった。特に患者が高齢者の場合、長期の安静や運動量の低下によって身体機能が衰える『廃用症候群』になるリスクが高くなってしまって、回復までの期間がぐんと伸びてしまう」

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