ブルーシールがコラボ商品を出し続ける理由とは?山本社長に聞く

 

 沖縄の人にとって、より身近なアイスであってほしいという思いから「例えばですが、出産を終えたお母さんに、冷たくて甘いアイスクリームを一番初めに食べてもらって、お母さんと赤ちゃんにとっての思い出になってくれたらとも思います」とのアイデアを温める。他にも同社は、行事などの節目の日には学校給食のメニューにアイスクリームを並べてもらうなど、食べた人の思い出においしさを添えることで、県民への恩返しを続ける。

 ブルーシールの、いわゆる南国向けのさっぱりとした味わいは、他の国内メーカーとは違って動物性の油脂をほとんど使用していない点にある。それは、沖縄が人口に対して乳牛の数が少なく“乳立地”ではないことも影響しているという。「それが、よく言えばあっさりすっきり、ヘルシーだという魅力にもつながります」と山本社長。

 「高齢になるとカロリーやカルシウムが不足しがちになるので、ブルーシールのアイスをおいしく食べて補ってほしいと思っています。年を重ねてもブルーシールに接し続けてもらえると嬉しいです」

沖縄の産業発展をアイスに乗せて

 このように、ブルーシールが沖縄で地固めし、対外的にその魅力を発揮する先に見据えているのが、沖縄の“外貨獲得”だ。

 「黒糖や果物など、沖縄の原料を使って価値やブランドを付けて、県外でしっかりと売ることで、弊社だけではなくて他の沖縄の企業も一緒に伸びることができます。ブルーシールを媒体にして、県外からしっかりと沖縄にお金を引っ張ってくる。そこまで価値を強化して、“沖縄に投資をする”という意識でどんどん仕掛けていきたいなと思います」

 幅広く県内の企業や農家らと手を取り合うことで、アイスのフレーバーに県経済の新しい可能性も乗せておいしさを届けていく。

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長濱 良起

投稿者記事一覧

フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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