ブルーシールがコラボ商品を出し続ける理由とは?山本社長に聞く
- 2021/6/5
- 経済
コロナ禍で見直し「実力以上だった」
ブルーシールがコラボ商品のラインナップを強化したきっかけは、他でもないコロナ禍で気付かされたことがあったからだ。
同社はこれまで、観光客がブルーシール店舗や観光施設で商品を購入するなどした売上が好調に推移していた。しかし昨今の観光客激減のあおりを受け、2020年度の売上は前年に比べ約25億円から約18億円に大きくダウンした。
「思い知らされたんですよ。結局、沖縄の観光を発展させ、観光客を増やすために尽力しているみなさんの恩恵に預かっていたんです」と山本社長。そして、こうも述べる。「今までが実力以上だったんですよ。もっと実力を付けなければ」。
だからこそ、もう一度足元を見直した。観光客向けの売上は減ったものの、家庭向けやギフト向けの売上は2.5倍に伸ばしていた。
「観光客の方にとっては、ブルーシールに希少性を感じてもらっていると思います。でも、沖縄の人にはブルーシールに愛着を持って頂いています」。主に家庭向けの、スーパーやコンビニなどで販売される定番のカップアイスを、20%増量した。4月5日の発売初日で、例年の1か月分に相当する発注があった。巣ごもり需要も見越して、県民に寄り添った戦略が奏功したのだった。
さらに、ブルーシールが“沖縄のアイス”であることこそが、コロナ後に戻ってきてくれるであろう観光客にとっても、喜んでもらえるはずだと考えている。「『やっぱり沖縄に来たらブルーシールだよね』と言ってもらえるためには、少なくともウチナーンチュのみなさんに、ブルーシールを『わったーアイス』として認めてもらう必要があると思います。沖縄のアイスじゃないものを、沖縄の思い出として買わないじゃないですか」
県民の人生にブルーシールを
見据えるのは、いかに県民の人生にブルーシールを登場させてもらえるかどうかだ。
「沖縄で生まれて沖縄で人生を終える人に『果たして何回ブルーシールに接してもらうことができるだろうか』と考えています。これを約150万人県民の全員分、そのような意識でしっかりとアイスを提供することができたら、弊社は『わったーアイス』になりますよ」