県内8島のラムシリーズ「 IE ISLAND RUM」で完結 「ここから新たなスタート」

 
今後の展開について話す仲里彬さん

 さらに「One Island Series」では劣化の速いサトウキビの絞り汁を使用するため、生産地から近くなければ生産することができない「アグリコールラム」を開発する。このボトルでは糸満に所有する自社農園「ONERUM FARM」で収穫したサトウキビを使用する。

 また、仲里さんはラムをベースにハーブや果実のフレーバーをつけて製造する「スパイスド・ラム」がヨーロッパでトレンドになっていることにも触れ、今後沖縄の特徴的なボタニカル(香り付けのための素材)を使ったスパイスド・ラムの展開も検討しているとした。

沖縄黒糖ラムの強みは「和の風味」

プロジェクトを振り返る玉那覇美佐子社長

「最初はとても不安でしたが、8島のラム全てを“貫徹”できたことはとても感慨深いです」と瑞穂酒造の玉那覇美佐子社長は振り返る。「それぞれの島の特徴を生かすということで、開発部が大変な労力を費やしながらけっこうなスケジュールで挑みました。そんな中で、商品を受け取った皆さまに評価していただいたことは、造り手冥利に尽きます」と噛みしめるように語った。

 沖縄県黒砂糖共同組合の宇良勇さんは「在庫問題がかなり改善されつつあります。黒糖を使った色んな商品の開発を、色んな企業の方々に手がけてもらったという効果もあり、感謝に尽きるという思いです」とコメント。「商品とともに8島の産地のストーリーもPRしてもらっていることにも、ひとえに喜ぶ以外の表現の仕方もない状態です」と寿ぎ、今後も連携していくことを強調した。

ラムというお酒に関しては、国産で飛び抜けた大手メーカーがないため、そこにチャンスがあると考えています」と仲里さんは語る。仮に大手が参入した場合には原料の生産地域の遠さや廃液処理などが課題になる可能性があると説明した上で、「ONERUMシリーズでは現時点でその障壁をクリアしていることが、頭一つ抜けている状態だと言えると思います」と述べた。

 製造の課題について仲里さんは「更にコストを下げていく必要はあるかもしれません」としつつ、一方で「価格帯に対しての価値は作り込むことが出来ていると考えています」と自信を見せる。
 さらに、グローバルな展開を目指す上で“日本特有のラム”になれる可能性を黒糖に見出していることにも言及。「テイスティングをした多くの人たちが、きな粉や和菓子といった『和の風味』を感じていて、この特徴を持ったラムは黒糖がある沖縄の強みだと考えています」と話し、これからの展開に期待を込めた。

■関連リンク
☆瑞穂酒造 WEBサイト
☆西表島ラムは軽やかな“フルフレーバー” ONERUM第7弾リリース ∥ HUB沖縄
☆沖縄をラムの聖地に 瑞穂酒造が「ONE RUM」プロジェクト始動 ∥ HUB沖縄

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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