SNSで発信する新しい民謡居酒屋のカタチ 「結歌」の歌姫・石嶺愛莉さん

 
クリアな歌声で観客を魅せる石嶺愛莉さん

 国際通りの真ん中に位置するビル。エレベータを降りて2、3歩足を進めると、100席余のテーブルが並ぶ店内には既にたくさんの人が座って、ビールジョッキを片手に一点に目を向けている。視線の先にあるステージには、琉装に身を包んだ女性。艶やかな表情で三線を弾き鳴らし、透明感のある伸びやかな声を響き渡らせている。

 那覇市牧志にある島唄ライブ居酒屋「結歌」で、“お店の顔”として歌声を披露しているのは、アーティストの石嶺愛莉さんだ。コロナ禍真っ只中の2020年夏に開店した結歌は、石嶺さんの歌声をTikTokやInstagramなどのSNSで積極的に発信したことで、今までにない客層の広がりを見せた。石嶺さんのフォロワー数はTikTokで約3万人。SNSを駆使した「新たな民謡スター誕生」の様相を呈している。

 「自分の歌を生かして、『ちゃんと歌を聴きに行くお店』を作りたかったんです」と石嶺さんは語る。現在“県内で最も集客しているライブ居酒屋”と言っても過言ではない結歌。石嶺さんが自身の歌を聴いてもらうためのライブへのこだわりや、若い世代が切り盛りする新しい民謡居酒屋のあり方に迫った。

歌に合わせて「あっり、乾杯!」の図

TikTokで団体客100人の予約!

 店のスタッフは店長も含めてほとんどが20代で、若い世代が店を回す。コロナ禍に開店したこともあり、広い店内を全く埋められないこともままあったし、緊急事態宣言などで店を開けられない時期もあった。「お客さん1人だけに歌う日もありましたね」(石嶺さん)。

 そんな中、第6波に差し掛かった頃にTikTokでの動画配信に注力した。店を開けられなくても、開けた時のために何か出来ることはないかと模索する中での1つの試みだった。石嶺さんが友人や知り合いに動画発信の仕方を教えてもらいながら、自身のアカウントで店の仲間も協力して「歌ってみた」動画を積極的にアップし続けた。

https://www.tiktok.com/@airi_sing/video/7104558718271884546?_t=8THukmZVaJW&_r=1

 すると、石嶺さんの歌声はもちろんキャラクターも相まって、フォロワーが少しずつ増え、TikTokでは約3万人、Instagramでは1万人余が石嶺さんをフォローしている(6月20日現在)。この効果は絶大で、第6波の営業制限が解除されたと同時に「店の予約が激増した」(石嶺さん)という。ちなみに取材で話を聞いた翌日には、TikTokで動画見た人たちの団体で100人(!)の予約が入っていた。SNS恐るべし…。

 結歌の店長・花城孝昂さんは「愛莉さんの歌は誰が聞いても上手いし、ちゃんとうちの顔としてやってもらっています。民謡ライブをやっている居酒屋では、どこにも負けないと思ってます」と自信をのぞかせる。

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