星のや竹富島が島と模索する持続可能な観光 10周年島民ツアーレポ

 

 青い空に、赤瓦の屋根と白砂の道がよく映える。沖縄本島から南西へ350キロに位置する人口350人の離島、竹富島に星野リゾートが運営する「星のや竹富島」が開業したのは2012年のことだ。

 2万ヘクタールの敷地にある48棟の客室は、竹富島の伝統建築基準に則って築かれ、島の集落と同じようにすべて南向きに造られている。竹富島には3つの集落があり、星のやを「4つ目の集落だ」と表現する島民もいる。開業から10周年を記念した、施設見学のイベントを取材した。

小さな島にリゾートホテルが建つ不安

 竹富島は、1986年に島民らが自主的に「売らない」「汚さない」「乱さない」「壊さない」「生かす」を基本理念にした「竹富島憲章」を制定した。1987年には国の「伝統的建造物群保存地区」に選定され、長い時間をかけて沖縄の原風景といわれる景色を守ってきた。

 リゾートホテルが建つことを、島の人はどう受け止めたのだろうか。2019年に発足した竹富島地域自然資産財団(以下竹富財団)の理事長を務める上勢頭篤さんは、こう話す。

「島はね、田舎だし、企業が入ったら後々はどうなるかとそりゃあ不安でした。島の祭事や行事もできなくなるのではとの声もありましたね。星のやは何度も話をしながら、地域と連携してやっていくと。実際にこの10年一緒にいろいろな取り組みをしてきました。立派な企業だと思います。星のやがやってるからうちも、と言ってくる企業がいるけど、それは違います」

 星のや竹富島は、それまでは民宿がスタンダードだった竹富島に最初にできた滞在型のリゾートホテルだ。“対話”を大切にしており、「島が大事にすることは守る」と約束し、島民との約7年の対話を重ねて開業に至った。

 従来は年に1度、開業記念日の6月1日前後に「集落の日」と題し、普段は宿泊者しか入れない敷地に島の人々を招くイベントを開催してきた。しかし、コロナ禍になり2020、21年は中止。今年6月1日に10周年の節目というタイミングで3年ぶりに「集落の日」を開催した。

経済活動と島のための活動を両立

 敷地内にある畑を見学した。竹富島はかつて農業が主流であったが、近年はその担い手が徐々に減っている。そのため、2017年から施設内で島特有の作物を育てる「畑プロジェクト」を開始。島に古くから伝わる作物を島の人々から譲り受け、教わりながら栽培している。島の子どもたちと植え付けや収穫をするなど、島民と交流しながら島の食文化を残し伝えようと活動を続けている。

 竹富島出身で星のや竹富島の畑や植栽の手入れを担当する大政司さんが、竹富島の島言葉「テードゥンムニ」を交えながら畑について説明する。見学者からは笑いや感嘆の声がもれた。中でも星のやの畑で育った「粟」は、竹富島でもっとも大切にしている「種子取祭」で奉納するに至った。今後は毎年安定的に、祭事で奉納する作物の収穫を目指すという。
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