星のや竹富島が島と模索する持続可能な観光 10周年島民ツアーレポ

 

 続いて、敷地内にある「海水淡水化熱源給湯ヒートポンプユニット」へ。竹富島では1976年に石垣島からの海底送水が行われるまでは、生活用水を井戸水に頼る暮らしが続いた。現在も石垣島からの送水を使用しており、1日に使用できる水量に上限がある。

 星のや竹富島では2021年2月からこの装置の運用を始めた。地下10〜12メートルからくみあげた海水をフィルターに通して淡水にし、飲料水や浴室の水を含む9割を自給している。客室にペットボトル入りの水を置くのもやめ、年間1万4000本のペットボトル削減につながった。

 装置の電力は150枚のソーラーパネルで発電し、電気自動車のバッテリーを使って蓄電している。この「海水淡水化熱源給湯ヒートポンプユニット」は、現在特許出願中だという。

「電気自動車のバッテリーは6〜7年走ると車に使えなくなるものの、蓄電池としては問題なく使えます。自動車会社と交渉し保証期間を伸ばしてもらい、蓄電池として再利用しています。もし災害が起きても、天気がよければここで発電した電気で装置は動きます。今後は夜間の発電についてもどうにかできないかと、色々なところで実験してもらっています」

 この装置の実現に奔走したのは、足立淳さん。足立さんは現在は石垣島在住だが、以前は竹富島でも暮らしており八重山に来て20年が経つ。

「新しい技術を竹富島に持ってきたい。ここでうまくいったら小浜島、西表島などのグループ会社でも転用もできます。いつかは島のみなさんが暮らすための水や電気を島の中で作れるようになればと考えています。皆さんも良いアイデアがあったらぜひ教えてくださいね」

 足立さんが話すと、参加者からは「こんな素晴らしいところが竹富島にあるんだね」との声が上がった。

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