沖縄企業の82.61%、電気代「値上がりした」 東京商工リサーチ調べ

 

 東京商工リサーチ沖縄支店が沖縄県内企業を対象に2月上旬に実施した「電気料金アンケート」で、直近1カ月の料金が前年同月に比べて「値上がりした」と答えた企業が82.61%(38社)に上った。値上がりした企業の大半が自社の商品やサービスの価格に転嫁できていない現状も浮かび上がり、同支店は「電気料金の値上げが企業収益に深刻な影響を及ぼす可能性が強まっている」と指摘している。

 調査は2月1~8日にインターネット上でアンケートを実施した。

「経営努力」で値上げ回避も

 値上げの有無については「値上げしていない」と答えた企業も17.39%(8社)おり、同支店は「電力会社との契約見直しや省エネ投資、節電などの経営努力があったと考えられる」と分析。全国調査では「値上がりした」と回答した企業が沖縄を上回る94.61%に達した。

 沖縄企業の前年同月比での値上がり幅は10%未満が52.63%(10社)で最多。20%未満と30%未満がそれぞれ21.05%(4社)、40%未満が5.26%(1社)と続いた。

価格転嫁「できていない」96.77%

 「電気料金の増加分のうち、何%を価格転嫁できていますか?」という質問に対しては、値上がりしたと答えた企業のうち31社が回答。そのうち96.77%(30社)が「転嫁できていない」とし、価格転嫁できた企業は3.22%(1社)にとどまって転嫁幅は10%未満だった。顧客離れなどの懸念から価格転嫁が難しい実態が浮き彫りとなった。全国の「転嫁できていない」は90.93%だった。

 価格転嫁できていない企業の産業別の内訳は卸売業が30.0%(9社)で最も多く、建設業とサービス業他が23.33%(7社)、小売業と運輸業が6.67%(2社)だった。

規制料金値上げ 政府「4月ありきでない」

 電気料金を巡っては、ウクライナ情勢による世界的な資源価格の高騰や、2022年に急激に進行した円安などの影響を受けて各電力会社とも値上げを余儀なくされている。当然のことながら企業だけでなく、一般家庭における家計への影響も大きく、懸念の声が多い。

 大手電力会社の一つである沖縄電力も4月から「規制料金」「自由料金」ともほとんどのプランで値上げをする予定で、政府の認可が必要な規制料金の改定について経済産業省に申請している。

 ただ規制料金を巡っては、西村康稔経産相が2月24日の閣議後会見で「総理から規制料金の改正申請について、あらゆる経営効率化を織り込み、直近の為替や燃料価格水準を勘案するなど、4月という日程ありきではなく、厳格かつ丁寧な審査を行うことという指示、また電力料金の抑制に向けた取組について3月中に検討し、結果をまとめるようにという指示がございました」と述べたことから、料金改定の時期が4月より後ろ倒しになることや、申請内容よりも値上げ幅が圧縮される可能性もある。

 いずれにしろ、エアコンの使用量増加などで電気料金がかさばる夏場を前にさらなる値上げが見込まれるため、値上げの動向を注視する必要がありそうだ。


長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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